第2回社会人野球日本選手権大会

第2回社会人野球日本選手権大会

1975年11月2日から11月10日にかけて、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場を舞台に、社会人野球の秋の日本一を決定する第2回社会人野球日本選手権大会が開催されました。

大会の特徴と背景

前回、記念すべき第1回大会では、出場22チームのうち5チームを電電公社系のチームが占める大きな勢力でした。しかし、今大会では、電電公社勢が全チーム予選に参加しないという異例の事態となりました。これにより、前回大会から連続出場を果たしたのはわずか9チームにとどまり、出場チームの半数以上が入れ替わることとなりました。文字通り、新たな顔ぶれによる秋の日本一決定戦が繰り広げられたのです。

同年の夏に開催された都市対抗野球大会で優勝した電電関東は、上記の理由により今大会の予選には出場しませんでした。一方、都市対抗で準優勝に輝いた大昭和製紙北海道は、予選を勝ち抜き本大会に進出しました。

激戦の行方と鐘淵化学の戴冠

多くのチームが秋の栄冠を目指す中、頂点に立ったのは鐘淵化学でした。特に、鐘淵化学の絶対的エース、宮田典計投手の存在が際立ちました。宮田投手は、この大会でチームが行った全5試合にマウンドに上がり、合計41イニングを投げ抜きました。その投球内容は圧巻で、与えた失点はわずか「2」という驚異的な数字。さらに、5試合中3試合で相手打線を完璧に抑え込む完封勝利を記録するなど、まさに八面六臂の活躍を見せ、チームを初の全国優勝へと導いたのです。

決勝戦

1975年11月10日に行われた決勝戦は、鐘淵化学と北海道拓殖銀行という顔合わせになりました。緊迫した投手戦の末、試合は1対0という僅差で鐘淵化学が勝利を収めました。勝投手は鐘淵化学の宮田投手、敗戦投手は北海道拓殖銀行の山口投手でした。この勝利により、鐘淵化学は社会人野球日本選手権大会において、初の優勝旗を手にしました。

大会を彩った選手たち

今大会で最も輝きを放った選手として、最高殊勲選手賞には、優勝チームのエースとしてチームを牽引した鐘淵化学の宮田典計投手が選ばれました。また、準優勝チームから敢闘賞には、北海道拓殖銀行の山口敏男投手が選出されています。打撃部門では、首位打者賞に鐘淵化学の川内幸男外野手と住友金属の宇山秀明外野手が輝きました。

その他、大会を通じて活躍が認められた優秀選手には、以下の選手たちが名を連ねています。（所属は当時のもの）

投手
山口敏男（北海道拓殖銀行）
千藤和久（北海道拓殖銀行）
宮田典計（鐘淵化学）
大塚喜代美（三協精機）
福間納（松下電器）
末永秋徳（九州産交）

捕手
古川義弘（三協精機）
松隈憲治（住友金属）

一塁手
長嶋顕彦（鐘淵化学）
水谷清仁（北海道拓殖銀行）

二塁手
佐藤治夫（鐘淵化学）
佐藤信治（北海道拓殖銀行）
清水長寿（住友金属）

三塁手
藤村正美（鐘淵化学）
高岡茂夫（北海道拓殖銀行）
佐々木幸治（三菱重工広島）

遊撃手
岡田理三郎（鐘淵化学）
林正宏（住友金属）

外野手
宇山秀明（住友金属）
中林秀延（住友金属）
外囿郁夫（鐘淵化学）
川内幸男（鐘淵化学）
豊国利一（三協精機）
野村茂（日本生命）
* 吉川丈一（三菱重工広島）

大会の記録

今大会では、鐘淵化学工業が準決勝の住友金属戦において、7回に1イニングで7本の連続安打を記録するという大会記録が生まれました。これは、社会人野球の歴史に刻まれる猛攻として記憶されています。

多くの新しい力が躍動し、エース宮田投手の圧倒的な活躍によって鐘淵化学が初の栄冠に輝いた第2回大会は、社会人野球の秋の戦いを彩る memorable な大会となりました。

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