第2回NHK紅白歌合戦

第2回NHK紅白歌合戦

1952年1月3日、NHK東京放送会館第1スタジオにて放送された第2回NHK紅白歌合戦は、当時のテレビ音楽イベントの重要な一歩を記した歴史的な瞬間でした。この回は19時30分から21時の間に生放送され、多くの視聴者を魅了しました。特番としての紅白歌合戦は前年に好評であったため、再び正月の特別番組として企画されましたが、その後この日が年に一度の恒例行事に発展することになります。

主な出演者

この回の司会者は、紅組に女優の丹下キヨ子、白組にはNHKアナウンサーの藤倉修一が選ばれ、総合司会には田辺正晴が就任しました。紅組司会の人選は変わりましたが、藤倉と田辺は前年からの続投です。丹下はアドリブの効かない前任者に代わって選ばれ、番組進行を務めました。

出場歌手

この回の出場者には初出場となる歌手が多く含まれており、彼らが織りなすパフォーマンスは視聴者にとって新鮮で魅力的なものとされました。特に、今回のステージには「謹賀新年」というプレートが飾られ、正月の雰囲気を盛り上げる演出がなされました。

審査員

審査員には著名な作曲家、中山晋平が委員長に就任し、聴取者代表が4名選ばれました。審査の基準については、テレビ放送における歌唱力やパフォーマンスのクオリティが重視されたと考えられます。

収録エピソード

収録は前年と同じく東京放送会館ラジオ第1スタジオで、公開収録として実施されました。残念ながら、この時の音声や映像は現存しておらず、曲目や歌唱順については後の文献により様々な説があります。これまでの紅白歌合戦での唯一の写真が存在するのはこの第2回であり、後の回ではすべて写真が確認されています。

事故と代役

この回の放送にはドラマがありました。松島詩子が出場予定でしたが、不幸にも正月公演後に乗っていた車が都電と衝突し重傷を負ったため、急遽越路吹雪が代役として出演しました。越路は新年会の真っ最中だったにもかかわらず、その役割を見事に果たしました。このような状況が本番中に全国に知れ渡る中で、紅白歌合戦の神秘的な魅力が改めて浮き彫りとなったことでしょう。

結果

この年の白組の優勝が決定し、両軍トリは渡辺・藤山が務めました。藤山はこの年のオリンピックに関連した歌を披露し、会場を盛り上げました。使用したマイクは、東芝製のA型ベロシティーマイクロホンOB-1028で、音質も高く評価されたようです。

歴史的意義

この第2回放送以降、NHK紅白歌合戦は日本の年末の風物詩として定着しました。この年の参加者の中で知名度の高い歌手たちは今もなお憧れの存在で、多くの国民に親しまれています。2022年時点では、この回に出演した歌手の中で唯一存命者である菅原都々子は、第1回の参加者としても記憶されています。

このように、第2回NHK紅白歌合戦は稀有なエピソードと共に、歌謡界に新しい風を吹き込みました。

もう一度検索