第2次シャフリル内閣

第2次シャフリル内閣：インドネシア独立初期の苦難と挑戦

第2次シャフリル内閣は、インドネシア独立革命期における重要な政権の一つであり、ソエタン・シャフリルが首相として1946年3月12日から1946年10月2日まで国政を担いました。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

成立の背景：内閣の再編と課題

第1次シャフリル内閣は、タン・マラカ率いる反政府勢力「ペルジュアンガン」の強い反対に直面し、辞任を余儀なくされました。スカルノ大統領は当初、マラカに新政府の樹立を提案しましたが、マラカがスカルノ自身を打倒しようとしているという懸念が浮上し、実現には至りませんでした。その後、スカルノ大統領は中央インドネシア国家委員会の支持を得て、シャフリルに再び内閣を組織するよう要請しました。中央インドネシア国家委員会は、シャフリルに対し、より幅広い勢力を代表する内閣を組織することを求め、シャフリルは閣僚選出の主導権を握ることを条件にこの要請を受け入れました。

内閣の顔ぶれと動き

第2次シャフリル内閣は、困難な状況下で様々な課題に取り組む必要がありました。しかし、スワンディ法務大臣が1946年6月22日に辞任、その4日後にはザイヌッディン・ラサド農業・物資大臣が、担当省庁の通商産業省への統合に伴い失職するなど、幹部も安定していたわけではありません。その後、ダルマワン・マングンクスモが繁栄大臣に、サクソノが次席大臣に任命されました。

内閣の解散：誘拐事件と大統領への権限委譲

1946年6月27日、シャフリル内閣は予期せぬ事態に見舞われます。統一闘争の一員であるスダルソノ少将の指揮下にある兵士たちが、シャフリルとダルマワン・マングンクスモを誘拐するという事件が発生したのです。統一闘争は、シャフリル内閣がオランダとの交渉を通じて、インドネシアの一部をオランダに引き渡すことで完全独立を裏切ったと考えていました。この事件を受け、残された閣僚たちはアミール・シャリフェディンを議長とする会議を開き、スカルノ大統領に全権限を委譲することを提案しました。スカルノ大統領はこれを受け入れ、6月28日に政府を掌握する政令を発布しました。この政令により、インドネシアは大統領制に移行し、第2次シャフリル内閣は解散することになったのです。

まとめ：独立初期の苦難を象徴する内閣

第2次シャフリル内閣は、インドネシア独立初期の混乱と苦難を象徴する政権でした。内外の様々な勢力の思惑が絡み合い、政権運営は困難を極めました。しかし、シャフリル首相をはじめとする閣僚たちは、独立という大目標に向かって、それぞれの立場で奮闘しました。その功績は、インドネシアの歴史に深く刻まれています。

参考文献:
Kahin, George McTurnan (1952) Nationalism and Revolution in Indonesia Cornell University Press, ISBN 0-8014-9108-8.
Ricklefs (1982), A History of Modern Indonesia, Macmillan Southeast Asian reprint, ISBN 0-333-24380-3.
* Simanjuntak, P. N. H. (2003) (in Indonesian), Kabinet-Kabinet Republik Indonesia: Dari Awal Kemerdekaan Sampai Reformasi, Jakarta: Djambatan, pp. 29–41, ISBN 979-428-499-8.

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