第24回東京国際映画祭

第24回東京国際映画祭：震災後の再生と新たな試み

2011年、10月22日から9日間に渡り開催された第24回東京国際映画祭は、六本木と日比谷という東京の二つのエリアを舞台に、世界中から集まった映画ファンを魅了しました。六本木ヒルズを主要会場として8年連続の開催となり、日比谷での開催は初めてのことでした。複数のエリアで開催されるのは、3年ぶりとなります。

TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマート六本木、TOHOシネマズシャンテの3つの映画館が会場となり、コンペティション、特別招待作品、アジアの風、日本映画・ある視点、WORLD CINEMA、natural TIFFの6部門に加え、特別上映などが行われました。

映画祭実行委員会が8月1日に発表した実施内容では、「信じよう。映画の力。」を合言葉に掲げ、東北地方太平洋沖地震からの復興への想いが込められていました。9月21日には、コンペティション部門の審査員長にエドワード・R・プレスマン氏（映画プロデューサー）が就任したことが発表されました。震災の影響による審査員選考の難しさが、東京国際映画祭チェアマンである依田巽氏によって示唆されました。

オープニングを飾ったのは3D作品『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船|三銃士_王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』、特別オープニング作品は『1911』、そしてクロージング作品は『マネーボール』でした。オープニングイベントでは、2008年から継続されているグリーンカーペットがレッドカーペットに代わり採用されました。しかし、震災による電力不足のため、グリーン電力による上映は実現しませんでした。

この回から、東京国際映画祭はFacebook公式アカウントとUstream公式チャンネルを開設し、ソーシャルメディアを活用した情報発信を強化しました。特に、映画離れが懸念される若年層へのアプローチとして、当日券の学生料金を500円に設定（オープニング・クロージング作品を除く）、TIFF BOYSとTIFF学生応援団を結成するなど、新たな試みが導入されました。前売券や一般の当日券は1000円、1300円、1800円、2500円と価格帯が設定されていましたが、学生は当日券のみ500円で購入可能でした。

第19回から継続されている当日券販売は、今大会も全上映で実施され、前売券が完売した回も例外ではありませんでした。最終日には、コンペティション部門のグランプリ受賞作の上映に加え、新たに観客賞受賞作の上映も行われるようになりました。

コンペティション部門のプログラミング・ディレクターには矢田部吉彦氏、アジアの風部門には石坂健治氏が就任しました。

上映作品

ワールド・プレミア、インターナショナル・プレミア、アジアン・プレミアといった、世界初、本国以外初、アジア初上映の作品も数多く含まれていました。

各部門（コンペティション、特別招待作品、アジアの風、日本映画・ある視点、WORLD CINEMA、natural TIFF）に加え、「巨匠へのオマージュ」、「震災を越えて」、「日中友好40周年記念」といった特別上映プログラムも実施されました。「映画人の視点」と題した特集では、伊丹十三監督作品特集や、アニメーション特集、ハリウッド・西部劇特集などが行われました。

さらに、「香川京子と巨匠たち」と題した企画では、溝口健二、伊藤大輔、成瀬巳喜男、豊田四郎、黒澤明、山本薩夫、小津安二郎、山田洋次といった巨匠の作品が上映され、FIAF賞（国際フィルム・アーカイヴ連盟賞）の授賞式では、近松物語が日本人初受賞作品となりました。また、「第8回文化庁映画週間 -Here&There」や、「みなと上映会」といった共催企画も実施されました。みなと上映会では、ライブシネマ上映として、声優がその場で吹き替えを行うプログラムが用意されました。

受賞結果

コンペティション部門では、『最強のふたり』が東京サクラグランプリを受賞。その他、審査員特別グランプリ、最優秀監督賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞、最優秀芸術貢献賞などが発表されました。アジアの風部門では『クリスマス・イブ』が最優秀アジア映画賞を受賞、日本映画・ある視点部門では『ももいろそらを』が作品賞を受賞しました。TOYOTA Earth Grand Prixでは、『鏡は嘘をつかない』がグランプリを受賞しました。

各部門の審査員には、映画プロデューサー、女優、映画監督、特殊メーキャップ・アーティスト、映画評論家、映画ジャーナリスト、脚本家など、各分野の著名人が名を連ねました。

第24回東京国際映画祭は、震災からの復興を願いながらも、新しい試みを積極的に取り入れ、映画の力を信じる人々にとって、記憶に残る映画祭となりました。

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