第28回主要国首脳会議

第28回主要国首脳会議（カナナスキス・サミット）

2002年6月26日から27日にかけて、カナダのアルバータ州カナナスキスにて開催された主要国首脳会議です。通称「カナナスキス・サミット」と呼ばれます。

主要な成果

このサミットでは、グローバルな課題に対する様々な取り組みが合意されました。

特に注目されたのは、アフリカの開発に対する支援です。アフリカ各国が進める「アフリカ開発のための新パートナーシップ（NEPAD）」への対応と支援として、「アフリカ行動計画」が策定されました。この計画には、平和と安全の推進、制度・ガバナンスの強化、貿易と経済成長の促進、持続可能な開発、債務救済の拡大、保健衛生の改善（HIV/AIDS対策を含む）、農業生産性の向上、水資源管理の改善といった多岐にわたる項目が盛り込まれています。

経済分野では、カナダのジャン・クレティエン首相が、後発開発途上国（LDCs）の市場アクセス改善を目指す「市場アクセス・イニシアチブ」を提唱・実施しました。これは「トレード・ノー・エイド」（援助ではなく貿易を）の考え方に基づくもので、世界貿易機関（WTO）事務局が進める技術協力プログラムの一環でもありました。この動きと並行して、繊維・衣料品に関するWTO協定に基づき、2005年には繊維製品の輸入割当制度が廃止され、途上国からの輸出機会拡大につながりました。

安全保障面では、大量破壊兵器とその関連物質の拡散を阻止するための「G8グローバル・パートナーシップ」が採択されました。参加国は、特に旧ソ連諸国における大量破壊兵器の安全な解体・管理に向けて、今後10年間で総額200億米ドルを拠出することを約束しました。

また、このサミットの最終共同声明では、それまで参加国であったロシアがG8の正式なメンバーとして認められることが発表され、国際的な枠組みの変化を示す出来事となりました。これにより、ロシアは2006年に初めてG8サミットの議長国を務めることになります。

開催地の選定と厳重な警備

カナナスキスがサミット開催地に選ばれた主な理由は、その地理的な孤立性でした。前年イタリアのジェノヴァで開催されたサミットでは大規模な反グローバリゼーション抗議活動が起こり、警察との衝突も発生した反省を踏まえ、外部からのアクセスが限られる場所が選ばれました。

サミット期間中、開催地周辺は厳重な封鎖が行われ、ほとんど一般には公開されませんでした。抗議活動を行う市民の多くは、カナナスキスから数十キロ離れたカルガリー市内で集まるよう促されました。結果として、抗議活動はRaging Granniesを含むいくつかのグループによって行われましたが、全体として平和的に推移しました。

サミットの警備体制は非常に厳重を極めました。CF-188戦闘機や空中給油機が待機し、ヘリコプターが上空を継続的に監視しました。主要な幹線道路は閉鎖され、カルガリー市内の多くの商店も窓を板で覆うなどの対策をとりました。警備には推定5,000人から7,000人の警察官と軍人が動員され、抗議者の数を圧倒したと伝えられています。この警備活動は、カナダの歴史上、平時における最大規模の治安作戦となりました。

この厳重な警備体制には、納税者の負担として2億米ドルを超える費用がかかったとされています。

カナナスキス・サミットは、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、初めて開催されたG8首脳会議でもありました。この背景から、テロ対策や安全保障に対する各国の関心が高まっており、G8グローバル・パートナーシップの採択にも影響を与えたと考えられます。

その他

会議の開催には約3億ドルの費用を要したとされ、地元カナナスキスの経済にも恩恵をもたらす可能性が指摘されました。また、サミット開催に合わせて公式雑誌が発行されるなど、ビジネス機会を生む側面もありました。

当時の主要国の首脳が出席しましたが、具体的な参加者のリストについては資料によって異なります。

関連事項として、会議の終了直後には2002 FIFAワールドカップの決勝戦が開催され、ドイツのシュレーダー首相が日本の政府専用機に便乗して観戦に向かったというエピソードも残っています。

もう一度検索