第28回日本選手権競輪

第28回日本選手権競輪：若手台頭の幕開け

1975年、千葉競輪場を舞台に繰り広げられた第28回日本選手権競輪は、競輪界の歴史を大きく変える一戦として記憶されています。この大会では、当時22歳の高橋健二が、並みいる強豪を打ち破り、見事初優勝を飾りました。

レース展開

決勝戦は、グランドスラム達成目前の福島正幸、ゴールデンレーサー賞覇者の伊藤繁、そして連覇を狙う田中博らが中心となり、激しい戦いが予想されました。レースは、最終ホーム付近で高橋が須田を連れて先行し、最終1センター付近で先頭に躍り出ます。その直後、2コーナー付近で福島が転倒し、河内も巻き込まれる落車が発生。このアクシデントにより後続が大きく遅れ、マークの須田も千切れる展開となりました。高橋は3～4コーナーにかけて後続を引き離し、そのまま逃げ切り勝利を掴み取りました。伊藤と田中も懸命に追い上げましたが、高橋の勢いを止めることはできませんでした。

競輪界の構図の変化

この大会以前は、福島正幸、田中博、阿部道の3選手が「三強」として競輪界を牽引していました。彼らは1970年から1974年までの5年間で、特別競輪（現在のGI）19回のうち、11回を制覇する圧倒的な強さを誇っていました。しかし、このレースを境に、三強は特別競輪での優勝はおろか、決勝戦進出の機会すら減少し、競輪界の勢力図は大きく変化しました。

若手台頭と戦国時代の幕開け

高橋健二の優勝は、競輪界に「ヤング全盛時代」をもたらしました。20代前半の選手が次々と特別競輪で優勝するようになり、若手が活躍する時代となりました。一方で、優勝者が目まぐるしく入れ替わる「戦国時代」の幕開けともなりました。この大会は、競輪界の歴史におけるターニングポイントとして、後々まで語り継がれることとなりました。当時の月刊競輪の記事では、鈴木保巳が「競輪の歴史を変えた一戦」と称賛したほどです。

この大会の結果は、単なる一レースの勝敗にとどまらず、その後の競輪界の勢力図を大きく変え、新たな時代への扉を開けたと言えるでしょう。

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