第28回東京優駿競走

第28回東京優駿競走（1961年5月28日）

1961年5月28日、東京競馬場で開催された第28回東京優駿競走は、競馬ファンにとって忘れられない名勝負となりました。このレースは、騎手の保田隆芳が騎乗したハクシヨウが、ハナ差で人気薄のメジロオーを抑えて優勝するという結果に終わりました。レースの内容は、ハクシヨウが見事な追い込みを見せるもので、わずかに先着したことから「髪の毛の差」とも形容されました。

レース施行時の状況

1961年の日本ダービーの前の状況は厳しいものでした。有力とされる馬の故障が続出し、特に朝日杯勝ち馬ハクシヨウも繋靭帯炎により一時的に離脱を余儀なくされていました。他にも皐月賞馬シンツバメやNHK杯の勝ち馬チトセミノルが相次いで故障し、ダービーは「本命なきダービー」として注目を集めました。ハクシヨウは復帰戦となる皐月賞で1番人気ながら11着、次のNHK杯でも4着と苦戦しており、多くのファンの期待を背負いながらの出走でした。

レースには、オークス勝ち馬チトセホープが連闘で参戦し、過去18年で初となる牝馬によるダービー制覇への期待も高まっていました。この他にもアズマテンランやケンロクオー、スプリングステークスを勝ったユキロウなど、多彩な顔ぶれが揃いました。さらに、1着賞金は200万円増額され、総額700万円に達しました。1960年から採用されていたウッド式発馬機により、初めてのゲートを使用する日本ダービーでもあり、注目が集まりました。

出走馬と枠順

レースが施行された5月28日は晴天で馬場状態も良好でした。それにより出走馬たちは、全力を尽くしてレースに臨むことができたといえるでしょう。

レース展開

レースが始まると、トリシンが先頭を維持する展開となりました。一方、1番人気のハクシヨウはゲートで出遅れ、中団での追走を強いられます。後方から外を回ったチトセホープを意識しながら進み、やがて300メートル地点でチトセホープが先頭に立ちます。

しかし、最終的には追い込んだハクシヨウが前100メートルで一気に先頭に立ち、残り100メートルでは23番人気のメジロオーが大外から追い上げてきます。二頭はゴールの直前でほぼ並び立ち、競り合いが繰り広げられました。その結果、微細な差でハクシヨウが勝利をおさめることとなりました。

結果と反響

ゴール直前まで続いた壮絶な馬体のぶつかり合いにより、長い写真判定が実施されますが、その結果、ハクシヨウの勝利が決定されました。メジロオーはハナ差の2着となり、勝負は非常に僅差でした。この勝負の瞬間は多くの人々にとって記憶に残るもので、惜しくも敗れたメジロオーの調教師である大久保末吉は、判定に納得することができず、「絶対に勝っていた」と主張し続けました。馬主の北野豊吉も「負けた気がしない」と、選手たちの心中を代弁する言葉を残しました。

ハクシヨウの勝ち時計は2分30秒2で、前年の勝者コダマを0.5秒上回るレコードタイムでした。この素晴らしいレースは、競馬界においても一つの重要な歴史を刻んだことは間違いありません。

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