第3回20か国・地域首脳会合

2009年G20ピッツバーグ・サミット：世界経済危機と抗議の渦中での国際協調

2009年9月24日と25日、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグにおいて、世界金融危機への対応を協議する第3回G20首脳会合（G20ピッツバーグ・サミット）が開催された。直前のロンドン・サミットに続くこの会合は、世界経済の立て直しに向けた緊急の取り組みとして、各国首脳の注目を集めた。

サミットの開催地：ピッツバーグの選択

当初、ニューヨークでの開催が予定されていたサミットだが、開催地はピッツバーグに変更された。これは、20世紀後半の製造業衰退後、経済復興を遂げたピッツバーグの事例を世界に示す狙いがあった。サミットの主要会場となったデイヴィッド・L・ローレンス・コンベンション・センターは、環境配慮型デザインの認証であるLEEDを取得した世界最大級の建築物であり、歓迎会が催されたフィップス植物園も、環境に配慮した施設として知られていた。サミット関連イベントの会場として、アンディ・ウォーホル美術館なども活用された。さらに、地元エネルギー企業は、サミット開催期間中のピッツバーグ市の電力消費量を相殺する取り組みも行っている。

サミットに向けた準備と大規模な警備体制

サミット開催に向け、ピッツバーグ市では大規模な準備が行われた。市内の道路は再舗装され、交通規制も実施された。サミット開催週には学校や多くの企業が閉鎖され、市民生活にも大きな影響が出た。市当局は、予想される抗議活動への対応として、様々な団体と事前協議を行い、問題の緩和に努めた。

数千人の抗議参加者が予想されたことから、サミットは国家特別警備行事として指定され、アメリカ合衆国シークレットサービスとピッツバーグ市警察が中心となり、大規模な警備体制が敷かれた。必要とされた警官の数は4,000人に上ったが、市内の警官だけでは足りず、州警察や他都市からの応援も受け入れた。ヘリコプターや装甲車、さらには沿岸警備隊のボートまで動員されるなど、大規模な暴力的な抗議やテロへの備えも万全を期した。

サミットの開催と出席者

サミットには、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、ロシア、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ共和国、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチン、スペイン、オランダなどの各国首脳、そして欧州委員会、欧州理事会、国際機関の代表者らが参加した。

サミット期間中の抗議活動

サミット期間中には、平和、環境、労働、社会正義などを訴える様々な団体による大規模な抗議活動が行われた。サミットに先立ち、代替イベントも開催された。抗議活動は、平和的なデモから、警察との衝突を伴う激しいものまで様々に展開し、警察は催涙スプレーやサウンド砲を使用するなど、強硬な対応を取った。その中には、Twitterを利用した抗議活動への関与で逮捕された者もいた。抗議活動の結果、多くの逮捕者が出た他、街中には物的被害も発生した。

サミットの成果

サミットの主要な成果の一つは、国際経済協力のための新たな恒久的な協議の場としてG20が位置づけられたことである。これは、G20がG8を事実上置き換え、主要な新興国も巻き込んだ国際協力体制が構築されたことを意味する。

結論

G20ピッツバーグ・サミットは、世界金融危機という未曽有の危機への対応策を協議する重要な場となった。環境配慮の試みが見られた一方、大規模な抗議活動とそれに伴う警察の強硬な対応は、民主主義社会における安全保障と市民の自由のバランスという課題を改めて浮き彫りにしたと言えるだろう。サミットの開催は、世界経済の行方だけでなく、国際社会における新たな協力体制の構築という点においても大きな転換点となった。

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