第3期棋聖戦 (将棋)

第3期棋聖戦

昭和38年度（1963年度）後期に開催された第3期棋聖戦は、将棋界における主要なタイトル戦の一つとして、その歴史に新たな一ページを刻みました。本棋戦は、前年の1963年5月31日に幕を開け、翌1964年2月7日にかけて進行しました。棋聖戦は創設間もないタイトルでありながら、多くのトップ棋士が参加する権威ある戦いとして注目されていました。

棋聖戦のプロセスは、まず多くの棋士が参加する一次予選から始まります。ここでは、本戦への出場権をかけた厳しい勝ち抜き戦が繰り広げられます。一次予選を突破した棋士は、さらに二次予選へと進み、実力伯仲の戦いを経て、本戦へ駒を進める権利を獲得します。本戦では、前期の成績優秀者や二次予選を勝ち上がった棋士たちが一堂に会し、トーナメント形式で挑戦者決定戦進出を目指します。

今期の挑戦者決定戦は、特に注目を集める顔合わせとなりました。厳しい本戦トーナメントを勝ち抜いた升田幸三九段と山田道美七段が、挑戦権をかけて三番勝負を戦うことになったのです。両者ともに当時の将棋界を代表する実力者であり、その対局は多くの将棋ファンの関心を集めました。熱戦の末、升田九段が山田七段を2勝1敗で破り、見事、第3期棋聖戦の挑戦者としての権利を獲得しました。これにより、升田九段は時の棋聖である大山康晴への挑戦権を得たのです。

そして迎えた棋聖戦五番勝負。タイトル保持者の大山康晴棋聖に、挑戦者となった升田幸三九段が挑むという、まさに当時の将棋界の頂上決戦ともいえるカードとなりました。大山棋聖は、すでにこの棋聖戦で2期連続のタイトル防衛を果たしており、絶対王者としての地位を確立していました。一方、升田九段もまた、大山棋聖と並び称される実力者であり、打倒大山を目指して闘志を燃やしていました。五番勝負は緊迫した雰囲気の中で進行しましたが、最終的には大山棋聖がその安定した強さを見せつけ、升田九段を3勝1敗で下しました。

この勝利により、大山康晴棋聖は第3期棋聖位の防衛に成功しました。これは、棋聖戦というタイトルにおいて、3期連続3度目の獲得という前人未到の快挙であり、大山棋聖の将棋界における圧倒的な存在感を改めて示す結果となりました。升田九段は惜しくもタイトル奪取はなりませんでしたが、その戦いは多くの将棋ファンに感動を与えました。

第3期棋聖戦は、予選から本戦、そして挑戦者決定戦、さらに五番勝負へと続く、将棋界の厳しい序列とドラマを描き出す棋戦として記憶されています。大山棋聖の強さ、そして挑戦者たちの熱意が交錯したこの棋戦は、将棋史において重要な一章を占める出来事と言えるでしょう。本棋戦に関する詳細な記録や背景については、山本武雄氏の著作『将棋百年』などの文献や、日本将棋連盟の公式サイトなどを参照することができます。

もう一度検索