第305飛行隊 (航空自衛隊)

第305飛行隊 概要

航空自衛隊第305飛行隊（だい305ひこうたい）は、宮崎県の新田原基地に所在する第5航空団隷下の戦闘機部隊です。正式名称はJASDF 305th Tactical Fighter Squadron。主力機としてF-15J/DJ戦闘機、連絡機としてT-4を運用しています。その高い戦闘能力は、航空自衛隊の中でも特に注目されています。

沿革

創設と百里基地時代

第305飛行隊は、1978年（昭和53年）12月1日、茨城県の百里基地において、第7航空団の傘下部隊として誕生しました。これは、F-4EJ戦闘機を運用する航空自衛隊にとって5番目の飛行隊でした。部隊の新編に伴い、それまで百里基地でF-104J/DJを運用していた第206飛行隊は閉隊されました。

創設翌年の1979年（昭和54年）9月1日には、早くもF-4EJによる対領空侵犯措置任務が付与され、日本の空を守る第一線任務に就きました。

この時期、部隊は積極的に航空総隊戦技競技会（ACM）に参加し、実力を磨きました。1979年10月には初参加を果たし、その後1986年、1990年、1992年にはF-4部門での優勝を飾るなど、優れた戦術技量を示しました。また、1985年からは小松基地や三沢基地などでの日米共同演習「コープノース」にも度々参加し、連携強化と戦技向上に努めました。

1988年10月28日には夜間訓練中の痛ましい事故も経験しましたが、部隊は任務遂行に向けた訓練を継続しました。1993年7月1日にはF-4EJでの対領空侵犯措置任務を終了し、同年7月20日にはF-4EJのラストフライトを実施しました。

機種更新とF-15時代

1993年（平成5年）8月2日、第305飛行隊は運用機種をF-4EJからF-15J/DJ戦闘機へと更新しました。これは、航空自衛隊にとって7番目のF-15飛行隊としての出発を意味しました。機種更新後もその高い練度は維持され、1994年4月1日からはF-15Jによる対領空侵犯措置任務を開始しました。同年6月23日には連絡機として運用されていたT-33Aがラストフライトを迎え、連絡機の運用はT-4へ完全に移行しました。

F-15への機種更新後も、戦技競技会での活躍は続きました。1994年、1997年、2001年、2003年など、F-15部門においても複数回優勝を果たしており、これは航空自衛隊のF-15飛行隊としては最多の優勝記録となっています。この輝かしい実績は、部隊の高い戦術技量と継続的な訓練の成果を示すものです。

また、日米共同訓練に加え、1998年の日米共同統合演習、1999年のコープノース・グアム、2004年のコープノースや多国間演習「コープサンダー」など、国内外の様々な演習や訓練に参加し、広範囲な対応能力を培いました。

新田原基地への移駐

2016年（平成28年）8月31日、第305飛行隊は創設以来拠点としてきた百里基地から、宮崎県の新田原基地へ移駐しました。これに伴い、所属も第7航空団から第5航空団隷下へと変更されました。この移駐は、新田原基地でF-4EJ改を運用していた第301飛行隊との配置交代の一環として行われました（第301飛行隊は百里基地へ移動）。

新田原基地移駐後も、部隊は九州周辺空域を中心に日米共同訓練などに積極的に参加し、日本の防空体制の一翼を担っています。近年では、2017年や2018年に九州周辺空域や日本周辺空域でアメリカ軍との共同訓練を実施しています。

特筆すべき出来事

2018年（平成30年）8月24日には、日本で初めての女性戦闘機パイロット（松島美紗）が第305飛行隊に配属されたことが注目されました。これは、航空自衛隊における女性隊員の活躍推進を象徴する出来事となりました。

部隊マーク

第305飛行隊の部隊マークは「梅の花」です。創設当初の百里基地時代は、基地が所在する茨城県の有名な観光地である偕楽園の梅にちなんでデザインされたと言われています。前身の第206飛行隊も梅をマークとしていましたが、デザインは異なっています。

新田原基地への移駐後は、基地が所在する宮崎県新富町の天然記念物である「座論梅（湯之宮座論梅）」にちなむものとされています。これは、基地の変更に伴う部隊の新たな象徴として、地域との繋がりを大切にする姿勢を示しています。

運用機一覧

第305飛行隊がこれまでに運用した主な航空機は以下の通りです。

戦闘機:
F-4EJ（1978年～1993年）
F-15J/DJ（1993年～現在）
連絡機:
T-33A（1978年～1993年）
T-4（1992年～現在）

まとめ

第305飛行隊は、創設から現在に至るまで、日本の空の安全保障に貢献してきた重要な部隊です。運用機種の更新や基地移転を経て、常に高い練度を維持し、戦技競技会での最多優勝記録に象徴されるように、航空自衛隊屈指の戦闘能力を誇ります。伝統ある梅花のマークを掲げ、国内外の訓練参加や対領空侵犯措置任務を通じて、その任務を果たし続けています。

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