第32師団 (日本軍)

第32師団：設立から終戦までの軌跡

第32師団は、日中戦争の泥沼化に対応するため、1939年（昭和14年）2月7日に新設された大日本帝国陸軍の師団の一つです。その主な目的は、占領地の警備と治安維持でした。同時期には、第33師団から第37師団、さらに第38師団から第41師団も同様の目的で創設されています。

中国戦線での活動

編成後、第32師団は第12軍の指揮下に入り、中国の山西省に駐屯しました。他の治安師団と同様に、1939年夏以降、さまざまな治安作戦に参加しました。この期間、師団は占領地の安定化と治安維持に尽力しました。

太平洋戦争への転戦

太平洋戦争が開戦した後も、第32師団は引き続き第12軍の隷下で山西省に駐屯していました。しかし、1944年（昭和19年）4月、戦局の悪化に伴い、フィリピン南部のミンダナオ島への転進が決定され、第14軍に編入されました。しかし、すぐに派遣先はハルマヘラ島へと変更されました。

ハルマヘラ島での戦いと終戦

ハルマヘラ島への移動中、師団は竹一船団による輸送を受けましたが、途中で輸送船が潜水艦の攻撃を受け、多くの兵士が命を落とすという損害を被りました。1944年5月中旬にハルマヘラ島に上陸し、第2軍の指揮下に入り、連合国軍の上陸に備えました。隣接するモロタイ島で戦闘が開始されると、一部を逆上陸部隊として派遣しました。しかし、ハルマヘラ島への連合国軍の上陸は実際にはなかったため、師団主力はハルマヘラ島での守備を固め、そのまま終戦を迎えました。

師団概要

第32師団は、その設立から終戦まで、目まぐるしく変化する戦況の中で、様々な任務を遂行しました。

歴代師団長

木村兵太郎 中将：1939年（昭和14年）3月9日 - 1940年（昭和15年）10月22日
井出鉄蔵 中将：1940年（昭和15年）10月22日 - 1942年（昭和17年）10月8日
石井嘉穂 中将：1942年（昭和17年）10月8日 - 終戦

歴代参謀長

当山弘道 大佐：1939年（昭和14年）3月9日 - 1940年12月2日
浜田寿栄雄 大佐：1940年（昭和15年）12月2日 - 1942年2月9日
吉田栄治郎 大佐：1942年（昭和17年）2月9日 - 1944年8月21日（戦死）
星野一夫 大佐：1944年（昭和19年）8月30日 - 終戦

最終所属部隊

歩兵第210連隊（甲府）：松永英夫大佐
歩兵第211連隊（東京）：三吉悌一中佐
歩兵第212連隊（佐倉）：土師正義中佐
野砲兵第32連隊：三田村佐一大佐
工兵第32連隊：佐藤武志大佐
輜重兵第32連隊：中川千代吉大佐
第32師団通信隊：加藤紫朗少佐
第32師団兵器勤務隊：西村安一大尉
第32師団衛生隊：木場茂大佐
第32師団第1野戦病院：小菅俊平軍医少佐
第32師団病馬廠：阿部国人獣医中尉

参考資料

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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