ハルマヘラ島

ハルマヘラ島

ハルマヘラ島は、インドネシアのモルッカ諸島に位置する最大の島です。かつてはジャイロロ島、ジロロ島とも呼ばれていました。面積は約17,780平方キロメートルで、モルッカ諸島の中で最も大きな島です。島の北東部は太平洋に面し、南東部はハルマヘラ海、西部はモルッカ海峡とモルッカ海に囲まれています。2010年の調査によると、人口は約45万人で、その大部分がイスラム教徒で、残りがキリスト教徒です。島の最高地点はガムコノラ山で、標高は1560メートルまたは1635メートルとされています。この山は活火山であり、過去には噴火も記録されています。その他にも島には複数の活火山が存在します。

歴史

ハルマヘラ島は山地が多く、熱帯雨林に覆われているため、人口密度は低い地域です。この地域の中心は、ハルマヘラ島の西海岸沖に位置するテルナテ島とティドレ島です。これらの島は面積が100平方キロメートル程度と小さいながらも、丁子の原産地として香辛料貿易で繁栄し、ハルマヘラ島を含むインドネシア東部一帯に影響力を持っていました。16世紀初頭にはポルトガル人が来航し、その後、モルッカ諸島は西洋諸国による支配権争いの舞台となりました。最終的にオランダ領東インドに組み込まれ、その後、インドネシア独立に伴い、マルク州の一部となりました。1999年には、北マルク州が成立し、ハルマヘラ島は同州に属することになりました。

2010年代には、島内でニッケル資源が発見され、フランスのエラメットとドイツのBASFが共同で精錬事業を計画しました。しかし、2020年代に入るとニッケルの需給が緩み、2024年には事業の中止が発表されています。

言語

ハルマヘラ島とその周辺では、オーストロネシア語族と非オーストロネシア語族の両方の言語が話されています。オーストロネシア語族の主な言語には、以下のものがあります。

ギマン語（別名：ガニ語、ガネ語）
サワイ語（別名または方言：ウェダ語、Were語）
パタニ語
ブリ語
Wayamli（Wajamli、Jawanli）方言
東マキアン語
Kayoa（Kajoa）方言
マバ語（別名：Bitjoli語、Ingli語）

これらの言語の中で、ブリ語については早い時期から体系的な研究が進められています。

また、非オーストロネシア語族の主な言語には、以下のものがあります。

ガレラ語
Ibu語
ロロダ語（別名：Loda語）
西マキアン語
モドレ語
パグ語
Isam方言
サフ語
テルナタ語
ティドレ語
トバル語（別名：Tabaru）
トベロ語
ワイオリ語

このように、ハルマヘラ島は多様な言語が共存する地域であることがわかります。

参考文献

R. E. アシャー、クリストファー・マーズレイ 編、土田滋、福井勝義 日本語版監修、福井正子 翻訳『世界民族言語地図』東洋書林、2000年。ISBN 4-88721-399-9
Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/
Lewis, M. Paul; Simons, Gary F.; Fennig, Charles D., eds. (2015). Ethnologue: Languages of the World (18th ed.). Dallas, Texas: SIL International.
* 崎山理「マライ・ポリネシア語族におけるブリ語（ハルマヘラ島）の系統」 『東南アジア研究』第7巻第3号、1969年、274-292頁。

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