第34回社会人野球日本選手権大会

第34回社会人野球日本選手権大会 概要

2007年（平成19年）11月15日から11月25日までの期間、大阪市の京セラドーム大阪を舞台に、第34回社会人野球日本選手権大会が開催されました。

大会改革と出場チーム

今大会では、前回の大会から段階的に進められていた改革が全面的に導入されました。大きな変更点として、従来の都市対抗野球大会やクラブ選手権の優勝チームに加え、新たに9つの地区連盟主催大会の優勝チームにも本大会への出場資格が与えられることになりました。これにより、従来の地区予選からの出場枠は大幅に減少しましたが、各地区の有力チームがより直接的に本大会へ進出できる仕組みとなりました。特にJR九州は地区連盟主催大会で2冠を達成し、その結果、所属する九州地区の出場枠が1つ追加されるという事例も生まれました。

また、クラブチームの活躍も目立ちました。クラブ選手権を制した注目チーム、茨城ゴールデンゴールズが出場し、1回戦の対三菱重工名古屋戦では多くの観客が京セラドームに足を運びました。さらに、近畿地区からは大和高田クラブ、和歌山箕島球友会が、関東地区からは三菱重工横浜硬式野球クラブが出場し、合計4チームのクラブチームが同時に本大会へ出場するなど、クラブチームの存在感が増した大会となりました。

大会の展開とトヨタ自動車の初優勝

本戦では、過去にはベスト8進出が最高成績だったトヨタ自動車が快進撃を見せました。今大会で初めて準々決勝の壁を破ると、その勢いを維持したまま決勝に進出。決勝では三菱重工名古屋を破り、見事な初優勝を飾りました。これはトヨタ自動車にとって、都市対抗野球大会と日本選手権を通じ、初めての全国大会優勝という歴史的な快挙となりました。

大会運営と課題

大会開幕直前の時期には、第37回IBAFワールドカップが開催されました。このワールドカップの代表チームには、同年夏の都市対抗で活躍した社会人野球の選手が多く選出されていました。そのため、都市対抗と日本選手権の両方に出場するチームの中には、主力選手を代表チームに派遣しており、彼らを欠いた状態で大会初戦に臨むことを強いられるケースが見られました。この問題は、以降の日本選手権の開催時期に関する議論の端緒となりました。

一方で、応援団コンテストが「元気賞」と名を改めて復活しました。選手を熱く後押しする応援団にスポットを当てる試みとして復活した初代元気賞には、大和高田クラブ応援団が選ばれました。

記録と表彰選手

今大会ではいくつかの notable な記録も生まれました。富士重工業が準々決勝の対JR東日本東北戦で、1試合チーム最多タイ記録となる7盗塁を記録。また、茨城ゴールデンゴールズの北野偉也投手は、1回戦の対三菱重工名古屋戦で、1試合最多タイ記録となる10与四死球を記録しました。

個人では、初優勝を果たしたトヨタ自動車から多くの選手が表彰されました。最高殊勲選手には投手として活躍した服部泰卓（トヨタ自動車）が、敢闘賞には白倉昌章（三菱重工名古屋）が選ばれています。打撃賞は清水明彦（トヨタ自動車）が受賞し、首位打者には11打数5安打、打率.455を記録した牧田一晃（JR東日本東北）が輝きました。

大会優秀選手には、以下の選手たちが選ばれました。

• - 投手

- 服部泰卓（トヨタ自動車）
- 白倉昌章（三菱重工名古屋）
- 中根慎一郎（三菱重工名古屋）
- 小町裕貴（王子製紙）
- 森内壽春（JR東日本東北）
- 東出康成（四国銀行）
- 古澤翔（日本通運）
- 小林太志（JR東日本）
- 平井英一（富士重工業）

• - 捕手

- 二葉祐貴（トヨタ自動車）
- 澤文昭（JR東日本）

• - 一塁手

- 野内彰大（三菱重工名古屋）
- 神谷譲二（富士重工業）

• - 二塁手

- 佐野比呂人（トヨタ自動車）
- 村田泰教（三菱重工名古屋）

• - 三塁手

- 福田康一（トヨタ自動車）
- 薮花新也（三菱重工名古屋）

• - 遊撃手

- 乗田貴士（トヨタ自動車）

• - 外野手

- 秋田祥孝（トヨタ自動車）
- 亀山智己（三菱重工名古屋）
- 荒木逸生（王子製紙）
- 牧田一晃（JR東日本東北）
- 中矢浩次（JR東日本）

• - 指名打者

- 渡邊悟（王子製紙）

また、応援活動が評価される元気賞には、大和高田クラブ応援団が選ばれ、スタンドからも大会を盛り上げました。

この大会は、改革による出場枠の多様化、クラブチームの健闘、そしてトヨタ自動車の歴史的な初優勝など、多くの話題を提供しました。同時に、国際大会との時期重複という課題も浮き彫りになった、社会人野球の新たな一歩を示す大会となりました。

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