第35回NHK紅白歌合戦

第35回NHK紅白歌合戦

『第35回NHK紅白歌合戦』は、1984年12月31日にNHKホールで行われた年越しの音楽イベントです。この年は、都はるみの引退ステージが特に話題となりました。放送は午後9時から午後11時45分まで、視聴者は生放送で楽しむことができました。

概要

この年5月にはNHKが衛星放送の試験放送を開始し、これにより山間地域や離島などの視聴が容易になったことも特筆に値します。紅白の司会者には、森光子と鈴木健二が選ばれ、光子は第29回以来6年ぶりの紅組司会を務めました。光子が64歳の時に紅組司会を行ったことは、当時の記録として残っています。

総合司会は、前回まで担当していたタモリに代わり、2年ぶりに生方惠一が復帰しました。生方はその後の進行が大きな話題を呼ぶことになりました。総合司会の役割は、この年の紅白において非常に重要な要素となりました。

当初は紅組司会に黒柳徹子が選ばれる予定でしたが、彼女は辞退を申し入れたため、森光子がその役割を引き継ぎました。光子の起用が決まったのは、紫綬褒章受章のニュースで話題性が生まれたからです。

特別な瞬間

この紅白では、都はるみが引退することに伴い、特に注目されました。彼女は紅組トリを務め、歌手生活に別れを告げる重要なステージを飾りました。都のステージは2000年近くも記憶に残るもので、視聴者の心に強く残ったことでしょう。実際、平均視聴率は78.1%に達し、瞬間最高視聴率は84.4%となりました。この視聴率は以後、70%を超えることがない傾向にあります。

都の歌唱前には、光子が涙を浮かべる心温まるシーンが展開され、彼女の最後の曲「夫婦坂」では大きな拍手が贈られ、アンコールが要求されるほどの興奮が巻き起こりました。このアンコールの瞬間、鈴木は「私に1分間時間をください」と発言し、後に語り草となる名フレーズを生み出しました。

事件とメロディ

この年は、主催側にも様々な事件がありました。生方が都の名前を美空ひばりと間違えるという失態をおかし、その結果として鈴木の名言が薄れたことが大きな話題となりました。また、高田みづえが感極まるシーンや、紅白史上では唯一となる「浪花節だよ人生は」の同曲対決が見られ、各パフォーマンスが視聴者を魅了しました。

最終的に、優勝は紅組となりましたが、紅白史上に残る数々の名場面とともに、何よりも都はるみのラストステージが強く印象付けられた年でした。これにより、この年の紅白歌合戦は多くのファンの心に深く刻まれることとなったのです。

紅白の舞台裏には、様々なドラマがあり、単なる entertainment に留まらず、視聴者に感動を与える作品としての側面も辿ることができます。この伝統あるイベントが、今後も多くの人々に影響を与え続けることは間違いありません。

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