第37回都市対抗野球大会

大会概要

1966年の夏、日本のアマチュア野球界最大の祭典である「第37回都市対抗野球大会」が、東京の後楽園球場を舞台に開催されました。7月23日から8月1日までの約10日間、全国各地から予選を勝ち抜いた31の代表チームが一堂に会し、栄光の黒獅子旗を目指して熱戦を繰り広げました。

この年の大会は、後にハワイで開催されるアマチュア野球選手権大会への出場権をかけた選考会としての側面も持ち合わせており、各チームとも例年以上に力の入った戦いを見せました。初めて都市対抗本大会の土を踏んだのは、広島県三原市から参加した三菱重工三原と、大阪府大阪市の日本熱学の2チームでした。

大会を巡るドラマ

大会は序盤から様々なドラマが展開されました。中でも注目を集めたのは、前回大会で惜しくも優勝を逃し、雪辱を期す和歌山県和歌山市の住友金属です。住友金属は、持ち前の粘り強い野球で勝ち進み、準々決勝では前回大会の王者である大阪市・電電近畿を破るという快挙を成し遂げ、着実に決勝への駒を進めました。彼らの戦いは、前年の悔しさを晴らそうとする強い意志に満ちていました。

一方、東京都代表の熊谷組もまた、厳しい試合を次々と制覇し、勝ち上がりを見せました。彼らの戦いは、決して楽なものではなく、何度も追い詰められながらも、土壇場での勝負強さを発揮し、準決勝を突破して決勝の舞台へと駒を進めました。

決勝戦と衝撃の結末

1966年8月1日、大会のクライマックスを飾る決勝戦が、住友金属と熊谷組の間で行われました。両チームともに、この一戦にかける思いは強く、白熱した投手戦、緊迫した守り合いが展開されました。試合は規定の9イニングを終えても決着がつかず、延長戦にもつれ込みます。そして迎えた延長10回裏、熊谷組はまさに劇的な展開でサヨナラ勝利を収め、37回目の都市対抗野球大会の頂点に立ちました。

この熊谷組の優勝は、その勝ち上がりが極めて異例であったことから、多くの人々の記憶に残るものとなりました。彼らはなんと、準々決勝、準決勝、そしてこの決勝戦と、3試合連続でサヨナラ勝ちという、奇跡ともいえる劇的な勝利を積み重ねて黒獅子旗を掴んだのです。この快進撃により、熊谷組は実に6年ぶりとなる3度目の都市対抗制覇を果たし、スタンドを埋め尽くしたファンを熱狂させました。

表彰選手と応援団

大会を通じて特に輝きを放った選手たちには、各種の個人賞が贈られました。最も栄誉ある橋戸賞には、優勝チームを率い、二塁手としても活躍した熊谷組の古田昌幸監督兼選手が選ばれました。惜しくも準優勝となった住友金属からは、チームの快進撃を支えた清沢忠彦投手に久慈賞が贈られました。また、将来を嘱望される若手投手に贈られる小野賞には、日本石油の平松政次投手が輝き、その才能が高く評価されました。

長年にわたり都市対抗の舞台で活躍した選手を称える10年連続出場表彰では、優勝した熊谷組の古田昌幸二塁手が選出され、大きな拍手を浴びました。

大会のもう一つの見どころである応援団コンクールも盛況でした。チームへの熱い声援を送った応援団の中で、最も優れた最優秀賞にはオール常磐が、優秀賞には松下電器が選ばれました。このほか、日本石油が特別賞、北海道拓殖銀行が努力賞を受賞し、各チームの応援が大会をさらに盛り上げました。

第37回大会は、熊谷組が見せた奇跡的なサヨナラ攻勢と、各チームの意地とプライドがぶつかり合った熱戦の数々によって、都市対抗野球の歴史に鮮やかな1ページを刻みました。

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