古田昌幸

古田昌幸：ミスター都市対抗の輝かしい軌跡

古田昌幸（ふるた まさゆき）氏は、1933年9月30日、熊本県熊本市に生まれ、1999年7月30日に心不全のため65歳で逝去しました。内野手として社会人野球の熊谷組で活躍し、都市対抗野球大会に16回出場、うち10回は監督兼任という偉業を達成。「ミスター都市対抗」の称号を得た、日本の野球史に名を刻む人物です。

熊本から東京へ：才能の開花

九州学院高校時代は、1951年春季九州大会県予選準決勝に進出するも惜しくも敗退。その後、立教大学に進学します。大学時代には、1953年春季リーグで優勝を経験。エース格の小島訓一選手（のち東京ガス）らの活躍もあり、同年開催された全日本大学野球選手権大会でも優勝の栄冠を手にしました。明大、早大の強豪ひしめく中での快挙でした。リーグ通算成績は89試合出場、打率.219、0本塁打、26打点と、打撃面では目覚ましい活躍はありませんでしたが、チームの一員として貢献しました。

同期には保坂幸永氏、大沢昌芳氏、1年後輩には東実氏、堀本律雄氏、矢頭高雄氏、2年後輩には後に「立教三羽烏」と呼ばれる長嶋茂雄氏、杉浦忠氏、本屋敷錦吾氏らがいました。錚々たるメンバーの中で活躍したことは、古田氏の野球センスの高さを物語っています。

熊谷組での活躍と国際舞台：社会人野球のレジェンド

大学卒業後は熊谷組に入社。二塁手として活躍し、1956年から13年連続で都市対抗野球大会に出場。3度の優勝に貢献しました。

国際舞台でもその実力を発揮します。1957年にはアメリカで開催された第3回世界野球大会に日本代表として出場。決勝のカナダ戦では、延長13回表に決勝点をあげる適時打を放ち、日本の初優勝に大きく貢献しました。さらに1959年の第3回アジア野球選手権大会でも日本代表に選出され、優勝に導いています。1960年には全日本社会人野球選抜チームの一員としてハワイ遠征も経験するなど、国際的な活躍も目覚ましく、日本の野球界を世界へ発信する存在でした。

プレイングマネージャーとしての活躍と栄光：都市対抗での伝説

1966年の第37回都市対抗野球大会では、プレイングマネージャーとしてチームを率います。準々決勝の東芝戦では、10回裏に逆転サヨナラ3ラン本塁打を放つなど、選手としても活躍。準決勝では日本石油の好投手を攻略し、逆転サヨナラ勝ち。そして決勝では住友金属を相手に10回裏サヨナラ勝ちという劇的な優勝を飾りました。この大会での活躍により、橋戸賞を受賞し、10年連続出場表彰も受けました。

指導者としての歩みと殿堂入り：野球界への貢献

1975年にはインターコンチネンタルカップ、1976年にはアマチュア野球世界選手権日本代表監督を務めるなど、指導者としても手腕を発揮しました。晩年は日本野球連盟理事などを歴任し、野球界への貢献は絶大でした。

2010年には、野球殿堂入りを果たします。同年8月27日、東京ドームで開催された第81回都市対抗野球大会開会式において、立教大学の同級生である大沢啓二氏の立会いのもと、殿堂表彰式が執り行われました。

古田昌幸氏の野球人生は、選手として、監督として、そして指導者として、常に日本の野球界を牽引してきた輝かしいものでした。その功績は、多くの野球ファンに深く記憶され、これからも語り継がれていくことでしょう。熊本から始まり、東京、そして世界へと羽ばたいた「ミスター都市対抗」の物語は、日本の野球史に燦然と輝く一ページです。

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