第4機甲師団 (シリア)

第4機甲師団について

第4機甲師団（アラビア語: الفرقة الرابعة‎ Al-Firqat ur-Rābaʿah）は、シリア陸軍の中で特に注目される部隊の一つであり、各方面で高い評価を得ています。この師団は「第4装甲師団」とも呼ばれ、主に戦車などの重火器を駆使した地上戦の最前線で活躍しています。

組織の特徴

この部隊は、いわばシリア陸軍の中のエリート部隊として知られており、一般部隊と比べて訓練や装備の面でより優遇されています。第4機甲師団はシリアの地上戦力の中でも最も精鋭とされ、その忠誠心からも政府にとって重要な存在です。特に、バッシャール・アル＝アサド大統領の出身宗派であるアラウィー派に属する士官や兵士が多数を占め、約80パーセントがその宗派に由来すると言われています。

この師団の構成員は、一般的な徴集兵の大部分を占める一般部隊と異なり、約90パーセントが職業軍人というプロフェッショナルな背景を持つ人々です。この要素は、政権に対する忠誠を強化し、政権の基盤を固める一因となっています。

指揮体制と内戦での役割

シリア陸軍の師団は名目上、全てが軍参謀本部の下にありますが、実際には第4機甲師団の指揮権は大統領の弟マーヘル・アル＝アサドの影響下にあります。このため、師団の運営は形式的なものにとどまらず、マーヘル氏の強い指導力のもとで行われています。

シリア内戦が始まると、他の一般部隊が動揺を見せる中で、第4機甲師団はその忠誠心を維持し、政府に対する強力な防衛ラインを形成しました。当初から反政府勢力の鎮圧にあたり、現在に至るまで活発な戦闘が続いています。特に、第42旅団は「ガイス部隊」として知られ、戦力として特に突出した存在です。

内戦による影響

内戦の勃発に伴い、第4機甲師団の編制も変わりました。二つの歩兵連隊が新たに編成されたものの、共和国防衛隊に比べてその拡充は限定的でした。また、戦闘による人的損失により、部隊の質を維持することが難しくなり、多くの有能な士官が失われてしまったことが影響しています。

さらに、シリア陸軍全体での訓練方法についても疑問が呈されています。ロシアからの支援による訓練を採用せず、独自の訓練体系を維持し続けることで、他の部隊との連携が難しくなりつつあるとも指摘されています。

現在の編制

現在、第4機甲師団は以下のような編制をしています。

• - 第40旅団（機甲旅団）
• - 第41旅団（同上）
• - 第42旅団（同上）
• - 第138旅団（機械化旅団）
• - 第154連隊（師団砲兵）
• - 第555連隊（特殊戦力連隊）
• - 第333連隊（歩兵連隊、内戦勃発後に新編）
• - 第666連隊（同上）

各旅団・連隊は大隊を基本に編成されており、定員も旅団ごとに設定されています。機械化旅団が3500人、機甲旅団が2500人、歩兵連隊と特殊戦力連隊は1500人程度の兵力を擁しています。

このように、第4機甲師団はその特殊性と戦略的重要性により、シリア内戦の激動の中でも中心的な役割を果たし続けています。

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