第5歩兵師団 (韓国陸軍)

第5歩兵師団：朝鮮戦争を生き抜いた精鋭部隊

大韓民国陸軍の第5歩兵師団は、韓国軍を代表する歩兵師団の一つです。1948年4月、第5旅団として発足し、翌年には師団に昇格しました。当初は光州に駐屯していましたが、朝鮮戦争勃発という激動の時代を迎えます。

朝鮮戦争：壊滅と再建

1950年6月、朝鮮戦争が勃発すると、第5師団はソウル北方に投入されました。しかし、激しい戦闘の中で壊滅的な打撃を受け、その兵力は第1師団に吸収される事態に陥ります。

師団の壊滅という大きな損失を被った後、第5師団は1950年10月、大邱で再編成されました。第27連隊、第35連隊、第36連隊を基幹として、第3軍団に配属。太白山脈南側や嶺南地方でゲリラ討伐に従事します。

しかし、中国人民志願軍の介入により戦況は再び悪化。第5師団は春川北方へと投入されましたが、中国軍の猛攻の前に後退を余儀なくされます。その後、アメリカ軍第10軍団に編入され、激しい攻防戦を繰り広げます。洪川への進撃中に人民軍第5軍団の攻撃を受け後退。提川北側に防御陣地を構築し、丹陽-豊基間の主補給路の警戒にあたるなど、部隊の維持に努めました。

壮絶な戦闘：麟蹄、351高地

1951年4月、第5師団は人民軍第12師団が占領していた麟蹄への攻撃を開始。3日間の戦闘の末、548-664高地を確保し、麟蹄北側の西湖里まで進撃しました。しかし、中国軍の5月攻勢によって再び後退を強いられます。

朝鮮戦争終盤には、351高地の戦闘に投入。この戦闘で、第5師団は激戦の末、人民軍第9師団を撃退し、351高地を確保しました。しかし、大隊規模の攻撃を受けて一時的に高地を失陥するも、反撃によってこれを奪還しています。

第5師団は朝鮮戦争において、麟蹄の戦い、351高地の戦闘など、数々の激戦を経験しました。これらの戦闘で、多くの犠牲を出しながらも、韓国軍の防衛線維持に重要な役割を果たしたのです。

戦後とゲリラ討伐

朝鮮戦争休戦後、第5師団は第2軍団に配属され、1953年12月から1954年5月にかけて智異山でゲリラ討伐に従事しました。

第5歩兵師団は、朝鮮戦争という激動の時代を生き抜き、韓国の防衛に大きく貢献した部隊です。その歴史は、韓国軍の歴史、ひいては韓国そのものの歴史を語る上で欠かせないものとなっています。 創設から朝鮮戦争、そして戦後の活動まで、数々の苦難を乗り越えてきた第5歩兵師団の歴史は、韓国軍の不屈の精神を象徴するものです。

参考文献

佐々木春隆『朝鮮戦争 韓国篇 上 (建軍と戦争の勃発前まで)』原書房、1976年
韓国国防軍史研究所 編著 著、翻訳・編集委員会 訳『韓国戦争 第4巻 国連軍の再反攻と共産軍の春季攻勢』かや書房、2004年
韓国国防軍史研究所 編著 著、翻訳・編集委員会 訳『韓国戦争 第5巻 休戦会談の開催と陣地戦への移行』かや書房、2007年
韓国国防軍史研究所 編著 著、翻訳・編集委員会 訳『韓国戦争 第6巻 休戦』かや書房、2010年
韓国国防部軍史編纂研究所: 韓國戰爭史第9巻、韓國戰爭要約、6·25戦争史 第11巻
박동찬 (2014) 통계로 본 6·25전쟁. 国防部軍事編纂研究所

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