第6回社会人野球日本選手権大会

第6回社会人野球日本選手権大会

1979年（昭和54年）11月3日から11月11日にかけて、阪神甲子園球場を舞台に第6回社会人野球日本選手権大会が開催されました。

大会概要と注目のチーム

この夏の第50回都市対抗野球大会で、初出場ながら見事優勝を果たした三菱重工広島は、同じく初優勝を飾ったプロ野球・広島東洋カープの勢いも味方につけ、秋の日本選手権でも快進撃を続けるかに思われました。しかし、蓋を開けてみると、チームは2回戦で無念にも敗退。夏の覇者は早期に姿を消すこととなりました。

前回大会の優勝チームである北海道拓殖銀行は、順調に勝ち進み準々決勝まで駒を進めましたが、ここであの津田恒美投手を擁する協和発酵と対戦。激闘の末に敗れ、大会史上初の連覇の夢は絶たれました。

住友金属、悲劇を乗り越え栄冠へ

激しい戦いが繰り広げられる中、優勝旗を手にしたのは和歌山県の住友金属でした。住友金属は前年の都市対抗野球大会では予選で敗れ、本大会への出場権を得られずにいました。しかし、この秋の選手権では快進撃を見せ、チームは決勝へと進出します。

住友金属にとって、この大会は特に特別な意味を持つものとなりました。大会開幕の直前、チームにとって精神的な支柱であった中村裕二コーチ兼任捕手が急逝するという悲劇に見舞われたのです。チームはこの大きな悲しみを乗り越え、故人に捧げる勝利を目指して一丸となりました。その結果、2年ぶり2度目となる日本選手権優勝という栄冠を勝ち取ったのです。まさに、悲願達成のドラマがそこにありました。

甲子園、社会人野球全国大会の歴史に幕

この第6回大会は、社会人野球の全国規模の大会が阪神甲子園球場で開催された最後の機会となりました。長い歴史を持つこの大会が、野球の聖地・甲子園で行われるのはこれが最後となり、翌年の第7回大会からは会場が大阪球場（当時）に変更されることになります。これ以降、社会人野球の主要な全国大会が甲子園で開催されることはなく、第6回大会は歴史的な節目として記憶されています。

決勝戦と主な表彰選手

11月11日に行われた決勝戦では、住友金属が松下電器（当時）と対戦しました。試合は住友金属が投手・川端理史、松下電器が投手・原邦彦という投手戦となり、住友金属が見事勝利を収めました。これにより、住友金属は2度目の日本一に輝きました。

大会の最優秀選手にあたる最高殊勲選手賞には、住友金属の優勝に大きく貢献した高橋修二投手、敢闘賞には惜しくも敗れた松下電器の鍛治舎巧一塁手、そして打撃賞には優勝チーム・住友金属の清水長寿二塁手が選ばれました。

また、大会を沸かせた優秀な選手たちが表彰され、住友金属、松下電器、協和発酵、電電九州、大昭和製紙北海道、日本楽器、北海道拓殖銀行、神戸製鋼（記録該当チームとして）など、多くのチームから名選手が名を連ねました。特に、後にプロ野球で活躍する津田恒美投手が協和発酵の選手として優秀選手に選出されています。

大会記録

この大会では、住友金属が準々決勝の神戸製鋼戦で珍しい記録を樹立しました。

1イニング連続安打：7本（8回に記録）
1イニングチーム最多三塁打：2本（8回に記録）

これらの記録は、住友金属打線の集中力と攻撃力を示すものとして、大会の歴史に刻まれています。

もう一度検索