第6回NHK紅白歌合戦

第6回NHK紅白歌合戦について

1955年12月31日、NHKの代表的な音楽番組である「紅白歌合戦」の第6回が、産経ホールで行われました。この回は21時15分から23時まで、各地域で生放送され、年末の風物詩として多くの視聴者に親しまれました。

番組の背景と競合

この年から、ラジオ東京の「オールスター歌合戦」が裏番組として放送され、NHK側は出演者の交渉に難航しました。民放側の出演者との独占契約が影響し、NHKは多くのアーティストを交渉することが困難でした。これによって紅白の出演者選定の戦略が見直されることとなりました。

司会者の紹介

本回の司会者は、紅組を宮田輝アナウンサー、白組を高橋圭三アナウンサー、そして総合司会を石井鐘三郎アナウンサーが担当しました。宮田は第3回でも白組の司会をつとめた経歴があり、今回の紅組司会への復帰となったのが特徴的です。さらに、両組を男性が司会する形は今回が初めてで、男性同士のやり取りが注目を集めました。

出場歌手と審査員

歌手陣には新たな顔ぶれも多く見られました。注目すべきは、初出場のアーティストや、過去に出演した歌手の返り咲きでした。しかし、前回出場した中には選ばれなかった歌手もおり、紅組では淡谷のり子や美空ひばりなどが該当し、白組では伊藤久男や春日八郎が外れる結果となっています。

審査員には、春日由三NHKラジオ局長が審査委員長として名を連ね、他に画家や華道家、作家など多岐にわたるジャンルの方が参加しました。

応援ゲストと当日のステージ

今回の紅白歌合戦から応援ゲストを初めて取り入れる試みが行われ、トニー谷や里見京子、横山道代、黒柳徹子などがステージに登場しました。特にトニーのそろばん漫談は大きな評判を呼び、会場から拍手が鳴り響きました。後に黒柳は総合司会を務めることとなり、歴史に名を刻むことになります。

放送の特徴

この大会はテレビとラジオで同時生中継されましたが、映像の記録は存在せず、ラジオ中継の音声のみが約95分間残されている状態です。オープニングやトップバッターの演奏が現存せず、2番手の歌手からの音声記録が残っています。紅組が5対4で勝利を収め、これが通算3勝3敗の成績となりました。

収録に使用されたマイクロホンはRCA-77Dで、司会者と歌手が同様に使っていました。これにより、音質面でも優れた音響が期待されました。

まとめ

第6回NHK紅白歌合戦は、多くの新しい試みや課題が見られた年でした。競合する民放の影響を受けつつも、出演者たちの強いパフォーマンスが輝く大会となり、多くのファンに愛される内容となりました。この年の紅白は、今後の放送に向けた重要なステップを踏んだ意義深いものでした。

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