第6次ヴァル・ファジュル作戦

第6次ヴァル・ファジュル作戦

第6次ヴァル・ファジュル作戦は、イラン・イラク戦争のさなかに実施されたイラン軍の大規模攻撃作戦であり、主にイラクのマイサーン県とバスラをターゲットにしていました。この作戦は、前回の第5次ヴァル・ファジュル作戦の成果を引き継ぐ形で行われ、イラクの主要な補給路であるバスラ街道を遮断することを目的としていました。

概要

1984年2月21日の深夜、イラン軍は満を持して中部および南部戦線において作戦を開始しました。この際、イラン空軍も加わり、イラクの主要都市への空爆を実施しましたが、初期の攻撃に比べてその後の出撃回数はすぐに減少しました。イラン軍の地上部隊は、ハウイザ湿原に進軍し、イラク軍と接触しました。その結果、イラン軍はマジヌーン島を占領することに成功しました。

一方、イラク軍は第4軍団に所属する第6機甲師団を投入し、イラン軍の進撃を阻止しようとしました。イラク軍はその強力な火力と機動力を駆使し、イラン軍の攻撃を防ぐために全力を挙げて臨みました。このように、両軍の間で激しい戦闘が繰り広げられましたが、イラン軍の波状攻撃は犠牲を生む結果のみをもたらしました。

化学兵器の使用

戦闘の中で、イラク軍が化学兵器を使用する事例も見られました。アメリカは1983年からイラクによる化学兵器の使用を疑っていましたが、確認は1984年2月22日以降に行われました。イラク軍はこの時、マジヌーン島の攻防戦で自国の兵士が直面している人海戦術に対応するため、マスタードガスやタブンといった化学剤を使用しました。

イラク軍は、砲弾や輸送機、ヘリコプターから計48回に渡り、化学剤入りのドラム缶を投下しました。その結果、イラン軍には40名の戦死者と2,660名の負傷者が出ました。負傷者のうち28名は西欧と日本の医療機関に搬送され、症状からマスタードガスによるものと判明しました。

イラクは1960年代からソ連製武器を使用し始め、以降化学戦能力の強化を進めました。特に1970年代にはイギリスやイタリアから大量の化学剤を購入し、専用の製造プラントも建設していました。これらの動きは、イランとの戦争におけるイラクの戦略の一環として理解されています。

イラン側はイラクの化学兵器使用に強く非難の意を示しましたが、イラクは逆にこれを謀略として反論しました。その中でイラク軍高官の発言が注目され、国土防衛のためにはあらゆる手段を講じるべきであり、化学兵器の使用も状況次第で考えられるというニュアンスを含める形で発言しました。

参考文献

• - 鳥井順『イランイラク戦争』（第三書館）
• - 松井茂『イラン-イラク戦争』（サンデーアート社）
• - ケネス・ポラック『ザ・パージアン・パズル 上巻』（小学館）

このように、第6次ヴァル・ファジュル作戦はイラン・イラク戦争の中で重要な局面を形成し、戦争の戦術や兵器の発展に大きな影響を与えた出来事として位置づけられるでしょう。

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