第60師団 (日本軍)

第60師団

第60師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つであり、太平洋戦争開戦後の1942年2月2日に編成されました。この師団は、中国に駐留していた独立混成旅団を改編して作られた治安師団であり、占領地の警備と治安維持を主な目的としていました。

沿革

第60師団は、第58師団や第59師団と同様に、独立混成旅団を基盤として編成されました。具体的には、長江南部の警備を担当していた独立混成第11旅団がその中核となりました。編成後、第60師団は前身の独立混成第11旅団から任務を引き継ぎ、上海から蘇州にかけての地域で警備と治安維持活動に従事しました。

1945年（昭和20年）に入ると、連合国軍による上海上陸の可能性が高まりました。これに対応するため、第60師団は上陸作戦に備える準備を進めると同時に、引き続き治安維持活動も行いました。しかし、連合国軍の上陸を実際に迎えることなく、終戦を迎えました。

師団概要

第60師団は、その編成目的からして、占領地の治安維持を最優先としていました。そのため、戦力としては独立歩兵大隊を多数抱え、地域ごとの警備を徹底する体制がとられていました。

歴代師団長

第60師団の歴代師団長は以下の通りです。

小林信男 中将：1942年（昭和17年）4月1日 - 1945年6月1日
落合松二郎 中将：1945年（昭和20年）6月1日 - 終戦

参謀長

師団の作戦立案と指揮を補佐する参謀長は以下の通りです。

安藤忠雄 大佐：1942年（昭和17年）4月15日 - 1945年6月10日
伊藤耕次郎 中佐：1945年（昭和20年）6月10日 - 終戦

最終司令部構成

終戦時の司令部構成は以下の通りです。

参謀長：伊藤耕次郎中佐
参謀：泉祐順少佐
高級副官：前田正成中佐

最終所属部隊

第60師団の最終的な所属部隊は以下の通りです。

歩兵第55旅団（佐倉）: 南部外茂起少将
独立歩兵第46大隊：大森勝一少佐
独立歩兵第47大隊：後藤学少佐
独立歩兵第48大隊：藤沢直助少佐
独立歩兵第49大隊：小沢千尋少佐
歩兵第56旅団（佐倉）: 山口三郎少将
独立歩兵第50大隊：青島武人大尉
独立歩兵第112大隊：西垣正温少佐
独立歩兵第113大隊：原武治少佐
独立歩兵第114大隊：長藤丈夫少佐
第60師団砲兵隊: 戸谷悦雄大尉
第60師団通信隊: 森繁太少佐
第60師団工兵隊: 原岡逸郎大尉
第60師団輜重隊: 平田忠夫少佐
第60師団野戦病院: 石原正己少佐
第60師団病馬廠: 陽田甚一大尉

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧

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