第61回東京優駿

第61回東京優駿

1994年5月29日、東京競馬場にて行われた第61回東京優駿。ナリタブライアンは連勝を収め、見事に二冠を達成しました。

レース施行時の状況

1994年の牡馬クラシックでは、ナリタブライアンが皐月賞での優勝を果たし、そのパフォーマンスに対する評価が非常に高かったことから、東京優駿での最有力馬と位置付けられていました。ナリタブライアンの対抗馬には、弥生賞を制したサクラエイコウオーや、皐月賞を故障で回避しNHK杯を優勝したナムラコクオー、青葉賞を勝ち上がってきたエアダブリンなど、多彩な競走馬が揃っていました。しかし、サクラローレルは右後脚の球節炎を患い、出走が叶いませんでした。

トライアルの結果

• - 青葉賞: 第1回青葉賞では、エアダブリンが優勝。
• - NHK杯: 第42回NHK杯では、ナムラコクオーがタイトルを獲得。

出走馬と枠順

レースに出走する馬は、ナリタブライアンをはじめ、競馬ファンの期待を一身に背負っていました。出走馬の枠順も大きな影響を与える要素です。

レース展開

レースは序盤から非常にアグレッシブな展開を見せました。最初はメルシーステージが先頭を走っていましたが、すぐにアイネスサウザーが前に立ちました。1番人気を受けていたナリタブライアンは馬群の外側を走行し、3コーナー入る際にスパートを開始しました。この早めの行動は、東京競馬場においては一般的には避けられる戦法でしたが、ナリタブライアンはそのまま勢いを保ち、全馬の中で最も速いラップタイムを叩き出しての勝利となりました。

レースの記録

ナリタブライアンが優勝したこのレースは、彼のキャリアにおいて重要な一歩となりました。新冠早田牧場新冠支場から生まれ、父はブライアンズタイム、母はパシフィカスです。

ナリタブライアンは、ここまでの通算成績で11戦中8勝をマーク。この後、秋に菊花賞を制し、史上5頭目となる三冠馬の称号を獲得します。また、有馬記念を制して四冠達成。これにより彼はシンボリルドルフ以来、二頭目の偉業を成し遂げました。翌年春の阪神大賞典を勝ったものの、股関節炎に見舞われ、天皇賞(春)を断念。秋の天皇賞(秋)では連敗を喫しましたが、その後も阪神大賞典で勝利を収めました。生涯成績は21戦12勝で、以後種牡馬として北海道に戻るも、1998年に死去しました。

レースにまつわるエピソード

このレースには、多くの話題がありました。特に注目を集めたのは、ナリタブライアンの単勝配当がわずか110円という、史上最低となったことです。これまでの記録は1984年のシンボリルドルフによる130円でした。また、彼の単勝支持率は61.8パーセントと非常に高く、支持率で語られる歴史的な記録も残しました。

また、ナリタブライアンが三冠競走において2着馬に付けた着差も注目されます。皐月賞では3馬身半、日本ダービーでは5馬身、菊花賞では7馬身という圧倒的な勝利を収めました。その際、テレビ観戦中の柴田政人騎手が、第3コーナーでのスパートを見て驚き、「早い!」と叫んだのも印象的です。

テレビ・ラジオ中継

このレースは多くのメディアで放送され、実況を担当したのはNHKの藤井康生さん、解説には鈴木康弘調教師が参加しました。その他の中継にはフジテレビやニッポン放送など、多彩な解説陣が揃いました。

このように、1994年の第61回東京優駿は、競馬の歴史に名を刻む名レースとして語り継がれています。

もう一度検索