第64師団 (日本軍)

第64師団

第64師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、1943年（昭和18年）に華中で編成された治安師団です。その歴史は、太平洋戦争（大東亜戦争）における中国戦線での活動を中心に展開しました。

編成と初期の活動

1943年5月、第64師団は独立混成第12旅団と広島師管の部隊を基幹として編成されました。同年7月10日に編成が完了し、第20軍に所属。当初は揚州、江北、鎮江、無錫といった地域で警備任務に従事しました。この時期の主な役割は、占領地の治安維持と後方警備でした。これらの地域は、長江デルタ地帯に位置し、日本軍にとって重要な補給路を確保する上で重要な拠点でした。

長沙への移動と第11軍編入

1944年（昭和19年）3月、第64師団は湖南省長沙に移動し、第11軍に編入されました。長沙は、中国内陸部への重要な交通の要所であり、日本軍は同地を確保することで、中国軍の進攻を食い止めようとしました。長沙到着後、第64師団は、同地の警備に当たり、防御体制の強化に努めました。

第二次湘桂作戦への参加

1944年10月、第64師団は第20軍に再編入され、大陸打通作戦の一環である第二次湘桂作戦に参加しました。この作戦は、日本軍が中国大陸の南北を陸路で結ぶことを目指したもので、第64師団は、その作戦において重要な役割を担いました。作戦中、第64師団は、中国軍との間で激しい戦闘を繰り広げ、多くの損害を出しながらも、作戦目標の達成に貢献しました。

終戦へ

第二次湘桂作戦後も、第64師団は華南で中国軍との交戦を続けました。しかし、戦局は悪化の一途をたどり、1945年（昭和20年）に入ると、第64師団は華中に後退。湖南省長沙で防御準備を行っている中で終戦を迎えました。終戦時、第64師団は、中国戦線において、その役割を終えました。

師団の概要

第64師団は、編成当初から終戦まで、中国戦線において常に最前線で活動しました。その活動範囲は、華中から華南に及び、多くの戦闘に参加しました。その結果、多数の戦死者を出し、その歴史は、太平洋戦争の激戦を物語っています。

歴代師団長

船引正之 中将：1943年（昭和18年）6月10日 - 終戦

参謀長

斎藤敏雄 中佐：1943年（昭和18年）6月10日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：斎藤敏雄大佐
参謀：伊藤貞利中佐
高級副官：中尾音吉大尉

最終所属部隊

歩兵第69旅団（広島）：大岩実少将
独立歩兵第51大隊：黒田儀一少佐
独立歩兵第52大隊：桜井兵一大尉
独立歩兵第53大隊：衛藤勇大尉
独立歩兵第131大隊：香西裕少佐
歩兵第70旅団（山口）：川勝郁郎少将
独立歩兵第54大隊：小林順一少佐
独立歩兵第55大隊：梶尾政一少佐
独立歩兵第132大隊：有馬典二少佐
独立歩兵第133大隊：桐谷幸昌少佐
第64師団通信隊：森繁太少佐
第64師団工兵隊：出射正大尉
第64師団輜重隊：江藤新吾少佐
第64師団野戦病院：大坪巽軍医少佐
第64師団病馬廠：正井夏雄獣医大尉

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『別冊歴史読本 戦記シリーズNo.32 太平洋戦争師団戦史』、新人物往来社、1996年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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