第7軍団 (アメリカ軍)

アメリカ陸軍 第7軍団の歴史

第7軍団は、アメリカ陸軍の歴史において重要な役割を果たした軍団です。第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして湾岸戦争という、20世紀の主要な戦争に参加しました。そのモットーは「ジェイホーク（Jayhawk）」、これは「義勇兵」を意味します。

創設と第一次世界大戦

第7軍団は、第一次世界大戦末期の1918年8月19日にフランスのルミルモンで創設されました。しかし、大戦終結後の1919年には活動を休止しました。

第二次世界大戦

1940年11月25日、第7軍団はアラバマ州フォート・マッカランで再編成され、戦前の演習に参加しました。1941年12月には軍団司令部がカリフォルニア州サンノゼに移転し、西部防衛司令部の指揮下に入り、部隊の編成と訓練を継続しました。

ノルマンディー上陸作戦

1944年6月、第7軍団はジョーゼフ・ロートン・コリンズ少将の指揮下でノルマンディー上陸作戦に参加しました。第21軍集団の第1軍に属し、カランタン正面のユタ・ビーチを担当。第101空挺師団と第82空挺師団が配属されました。

当時の編成は以下の通りです。

軍団長：ジョーゼフ・ロートン・コリンズ少将
第4歩兵師団：レイモンド・オスカー・バートン少将
第90歩兵師団：ジェイ・ワード・マッケルビー准将
第4騎兵連隊：ジョセフ・タリー大佐
第82空挺師団：マシュー・バンカー・リッジウェイ少将
第101空挺師団：マクスウェル・ダヴェンポート・テイラー少将

その後の戦い

7月からのコブラ作戦では攻撃の先鋒を務め、その後もバルジの戦いなど、フランスやドイツでの戦闘に参加しました。終戦後の1946年に再び活動を休止しました。

冷戦期

1950年、第7軍団は西ドイツ防衛のため再編成され、NATO軍の一部として活動を再開しました。軍団司令部はシュトゥットガルトのケリー・バラックスに置かれました。アメリカ第5軍団、西ドイツ第2軍団とともに中央軍集団の指揮下に入り、南部西ドイツの防衛を担当しました。

当時の編成例は以下の通りです。

第7軍団（在シュトゥットガルト）
第1機甲師団（在アンスバッハ）
第1歩兵師団（機械化）（リフォージャー部隊、在カンザス州フォート・ライリー）
カナダ第1歩兵師団（機械化）（在キングストン）
第3歩兵師団（機械化）（在ヴュルツブルク）
第2機甲騎兵連隊（在ニュルンベルク）
軍団砲兵（在シュトゥットガルト）
第17野戦砲兵旅団（在アウクスブルク）
第72野戦砲兵旅団（在ヴェルトハイム）
第210野戦砲兵旅団（在ヘルツォーゲンアウラハ）
第11戦闘航空旅団（在イレスハイム）
第7工兵旅団（在コーンヴェストハイム）
第14憲兵旅団（在ルートヴィヒスブルク）
第2支援コマンド（在ネリンゲン）
第207戦闘情報旅団（在ルートヴィヒスブルク）
第38歩兵師団（州兵）（在インディアナポリス）
アメリカ空軍第602航空支援グループ（在シュトゥットガルト）

湾岸戦争

冷戦中、ワルシャワ条約機構軍との戦闘はなかったものの、1990年8月、イラクのクウェート侵攻を受け、第18空挺軍団に続く第2波の部隊としてサウジアラビアへ派遣されました。

砂漠の剣作戦

フレデリック・フランクス中将指揮下の第7軍団は、当時、通常の編成よりも多くの部隊を指揮下に置き、4個機甲師団を含む強力な機甲戦力を誇りました。

編成は以下の通りです。

第7軍団：フレデリック・フランクス中将
第1機甲師団
第3機甲師団
イギリス第1機甲師団
第1歩兵師団（機械化）
第1騎兵師団
第2機甲騎兵連隊

1991年2月24日からの地上戦、「砂漠の剣作戦」において、第7軍団は多国籍軍の主攻を担当しました。第18空挺軍団に側面を援護されながらイラク領に進攻し、クウェート国境に達する「左フック作戦」を実行しました。特に、第2機甲騎兵連隊と共和国親衛隊第3機械化師団との間で行われた73イースティングの戦いなど、約100時間の戦闘でイラク軍を圧倒し、多国籍軍の勝利に大きく貢献しました。

第7軍団の損害は、アメリカ兵とイギリス兵合わせて341名でした。

再編と活動休止

湾岸戦争後、第7軍団の大部分はアメリカ本国に戻り、再編成または活動休止となりました。軍団司令部はドイツに戻りましたが、冷戦後の国防費縮小のため廃止されました。一部部隊は第5軍団やアメリカ欧州陸軍の指揮下に入りました。1992年3月18日、シュトゥットガルトで軍団旗返還の式典が行われ、1992年4月に正式に活動を休止しました。

第7軍団は、その歴史の中で数々の重要な戦いに参加し、アメリカ陸軍の歴史に大きな足跡を残しました。

もう一度検索