第77回都市対抗野球大会

第77回都市対抗野球大会

2006年（平成18年）8月25日から9月5日までの12日間にわたり、社会人野球の最高峰である第77回都市対抗野球大会が東京ドームで開催されました。

この大会は、前年から日本野球連盟特別枠制度が廃止され、前年度覇者である三菱ふそう川崎の所属する神奈川地区からは、その強豪ひしめく予選を勝ち抜いた3チームが本戦へ駒を進めることとなりました。

また、この年から社会人野球全体で試合時間の短縮を目指す取り組みが本格化。その効果はすぐさま現れ、今大会の平均試合時間は2時間45分と、2004年と比較して16分短縮されました。この傾向は以降の大会にも引き継がれていきます。

選手の負担軽減と深夜に及ぶ試合を防ぐため、大会運営方法にも変更が加えられました。これまで設けられていた1日に4試合を行う開催日が廃止され、開幕初日は開幕セレモニー後の1試合のみ。準々決勝は日程を分け、大会期間が12日間に延長されることとなりました。

予選段階から様々なドラマが生まれました。日本野球連盟に新規加盟したセガサミーと岩手21赤べこ野球軍団の2チームは、加盟初年度ながら地区予選で第1代表決定戦まで勝ち進む快進撃を見せましたが、惜しくも本大会出場はなりませんでした。そんな中、初出場を果たしたのはニチダイの1チームのみでした。

JRグループにとっては記念すべき大会となりました。活動を自粛していた西日本チームを除く、本社直轄の6チーム全てが本大会への出場権を獲得するという快挙を達成しています。

特に激戦となったのは北関東地区でした。わずか2つの代表枠を、住友金属鹿島、日立製作所、富士重工業の強豪3チームが争い、予選トーナメントと決勝リーグだけでは決着がつかず、代表決定まで3度にもわたるプレーオフが行われました。この選出方式については、今後見直しが必要ではないかという声も聞かれました。

大会本戦は、多くの強豪が出場する中で、秋田県にかほ市から出場したTDKが旋風を巻き起こしました。前評判では前年優勝の三菱ふそう川崎や、2年連続で決勝に進出した日産自動車などが注目されましたが、TDKは本大会での初勝利を皮切りに勢いに乗り、快進撃の末に栄冠を掴みました。人口3万人足らずの小さな市であるにかほ市からの代表チームが、第77回の歴史で初めて東北勢として都市対抗の頂点に立ったのです。TDKの優勝は、地元にかほ市だけでなく、東北地方全体に大きな歓喜をもたらしました。

遠路秋田から応援に駆けつけたTDKの応援団は、寝台特急「あけぼの」号を利用しました。チームの勝ち上がりに比例して応援団も増え続け、JR側も最大編成となる12両まで客車を増結して対応。大会終盤には「あけぼの」号が連日満員となる異例の事態となりました。

また、この第77回大会からは、優勝チームに秋に開催される社会人野球日本選手権への出場権が与えられることになりました。TDKは、その記念すべき第一号のチームとなったのです。

決勝戦で敗れた日産自動車は、前年に続き準優勝に終わり、あと一歩で優勝を逃しました。

大会のテレビ中継に関しても変更がありました。GAORAでの放送が、これまでの準々決勝以降から全試合に拡大。一方で、BSでのテレビ放送へのシフトに伴い同年9月末で廃止されたデジキャスにとっては、この大会が最後の放送となりました。

多くのドラマと変革があった第77回都市対抗野球大会は、TDKの歴史的な初優勝という形で幕を閉じました。

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