第9歩兵師団 (韓国陸軍)

大韓民国陸軍 第9歩兵師団（白馬部隊）

大韓民国陸軍の第9歩兵師団は、その勇猛な戦いぶりから「白馬部隊」の別名で知られています。忠清道出身の将兵を中心に、1950年10月25日、朝鮮戦争のさなかソウルで編成されました。当初は第3軍団に所属し、激戦地を転戦しました。

朝鮮戦争

朝鮮戦争初期、第9師団は、大田地域や慶尚北道内陸部でゲリラ掃討作戦に従事しました。その後、東部戦線に移動し、原州や江陵周辺の防衛を担いました。1951年4月には寒溪嶺付近まで進出しましたが、5月の中国軍による攻勢を受け、後退を余儀なくされました。この戦闘で第3軍団が解体された後、第9師団はアメリカ軍の指揮下に入ります。

その後、広峴里（ポチョン）に移動し、陸軍本部直轄の部隊として再編成、訓練を実施。アメリカ軍第1軍団、第9軍団に配属され、281高地、395高地、そして白馬高地など、数々の激戦を経験しました。特に白馬高地での戦闘は、第38軍を撃退したことで知られ、師団長をはじめとする多くの将兵が殊勲十字章を受章しました。

朝鮮戦争では、第9師団は、原州・江陵、寒溪嶺、白馬高地など、重要な地域での防衛や攻撃作戦に参加し、数々の勝利を収めました。休戦協定後も、最前線で警戒任務に就き続けました。

ベトナム戦争

1966年にはベトナム戦争に派兵され、駐越韓国軍司令部の指揮下で戦闘に参加しました。ニンホア基地を占拠し、トゥイホア、ニンホア、カムランといった地域で重要な役割を果たしました。烏鵲橋作戦や白馬作戦といった大規模作戦にも参加し、北ベトナム軍に大きな損害を与えました。タオ山での戦闘では、空中輸送によって敵陣深くへ潜入し、多くの敵兵を殺害するなど、その戦闘能力の高さを示しました。

しかし、1979年には師団長であった盧泰愚少将が、粛軍クーデターに参加したことで、第29連隊が中央機関に出動するという事態も発生しました。

編制

第9師団は、以下の部隊で構成されています。

第28連隊（トッケビ部隊）
第29連隊（金蝙部隊）
第30連隊（鷲部隊）
砲兵連隊（白虎部隊）
戦車大隊
偵察大隊
工兵大隊
整備大隊
憲兵大隊
情報通信大隊
補給輸送大隊
化生放支援大隊
その他の直轄部隊

これらの部隊は、それぞれの専門性を活かし、師団全体の戦闘力を支えています。

参考文献

韓国国防軍史研究所 編著 著、翻訳・編集委員会 訳『韓国戦争 第1巻～第6巻』かや書房
韓国国防部軍史編纂研究所 派越韓国軍戦史（PDF）
その他多数の韓国軍関係資料

これらの文献は、第9師団の歴史を研究する上で貴重な資料となっています。

まとめ

第9歩兵師団（白馬部隊）は、朝鮮戦争とベトナム戦争でその戦闘能力と勇猛さを証明した精鋭部隊です。その歴史と功績は、韓国軍史において重要な位置を占めています。 数々の激戦を経験し、幾度となく再編成、訓練を重ねながら、韓国の安全保障に大きく貢献してきた部隊と言えるでしょう。今後も、韓国陸軍の中核として、その役割を担っていくことでしょう。

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