粛軍クーデター

粛軍クーデター（1979年）

粛軍クーデターは、1979年12月12日に韓国で発生した軍事的反乱である。この出来事は、韓国政治の流れを大きく変え、全斗煥及び盧泰愚といった将軍が後の大統領となる契機となった。クーデターは、当時の政権が抱える問題から軍部が主導する形で実行に移された。その背景には、朴正煕大統領の暗殺やその後の政治的混乱があった。

背景

1979年10月26日、朴正煕大統領は暗殺され、その後を受けて崔圭夏国務総理が大統領権限を代行することとなった。彼は非常戒厳令を敷く中で、1961年から続いていた維新体制を維持することが期待されていた。しかし、崔の就任と同時に「ソウルの春」と呼ばれる民主化の動きが広がりを見せ、政権に対する期待が高まることとなった。

その一方で、軍内では全斗煥少将と鄭昇和大将との間で権力争いが起こり、全斗煥が形成していた秘密組織「ハナ会」のメンバーが影響力を強めていった。鄭は全斗煥や盧泰愚のハナ会を排除しようと試みたが、様々な政治的背景からその動きは反発を招き、結果的にハナ会の権力が強化されることとなった。

クーデターの実行

1979年12月12日の夕方、全斗煥とハナ会のメンバーは放映されることのなかったクーデターを計画し、鄭昇和を逮捕する行動に出た。これにより、韓国軍内部での権力が移転される重要なステップが踏み出された。彼らは友軍を動員しながら、首都警備司令部に集結、軍の実力を背景に患難及び混乱が予想される状況を制圧する結果へと導くことを試みた。

クーデターにおいて、鄭の逮捕には大統領の許可が必要であったため、全斗煥は事後的に裁可を得る手続きを行ったが、大統領の拒否によりその行為は違法なものとなった。しかし、この時点での強硬手段は全斗煥の支持を固め、さらなる権力の移行を実現する要因となった。

クーデター後の展開

その後、クーデターは迅速に進行し、全斗煥らは権力掌握に成功した。1980年5月、光州において民主化運動が発生するが、これに対してハナ会は武力弾圧をもって応じ、さらなる混乱を引き起こす事例となった。この時期、崔圭夏大統領は辞任に追い込まれ、全斗煥は新たな大統領としての地位を獲得する。

全斗煥政権時代の初期には、軍部による厳しい弾圧が続き、人々は抑圧された中での生活を余儀なくされた。粛軍クーデターは実質的に軍内部の権力再編を引き起こし、その後の韓国の政治を大きく変えるきっかけとなった。

結論

粛軍クーデターは、韓国の現代史において重要な転換点であり、軍が政権を掌握することによる影響が、後々まで続く結果をもたらした。全斗煥の台頭と光州事件を経て整備されることとなった第五共和制は、長年にわたる政権の変遷を経て、現代韓国政治へと繋がる一連の出来事の始まりであったと言える。

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