第96回アカデミー賞国際長編映画賞出品作一覧

第96回アカデミー賞国際長編映画賞について

第96回アカデミー賞国際長編映画賞は、映画芸術科学アカデミー（AMPAS）が主催する、アメリカ合衆国以外の国で製作された長編映画を対象とした賞です。この賞は、主要な会話が英語以外で占められている作品を対象としており、国際色豊かな映画作品が評価される場となっています。

以前は「外国語映画賞」という名称でしたが、アカデミーが「外国語」という言葉が時代にそぐわないと判断したため、2019年4月に現在の名称に変更されました。

選考プロセス

第96回アカデミー賞の出品対象となる映画は、2022年12月1日から2023年10月31日までの間に、それぞれの国の劇場で初公開されている必要があります。アカデミーへの出品期限は2023年10月2日でした。

今回は92ヶ国が映画を出品し、そのうち88ヶ国がAMPASによって有資格と認められ、投票者向けに上映されました。ナミビアが初めて出品したほか、ブルキナファソは1989年度以来の出品となりました。

2023年12月21日には最終選考に残った15作品が発表され、2024年1月23日にはノミネートされた5作品が発表されました。そして、2024年3月11日の授賞式で、ジョナサン・グレイザー監督による『関心領域』が受賞作品として選ばれました。

各国の出品状況と選考の裏側

今回の選考では、いくつかの国で特筆すべき出来事がありました。

キューバ: フェルナンド・ペレス監督の『Nelsito's World』が出品作として報告されましたが、後に「不適格」と判断され、最終選考には残りませんでした。
香港: アナスタシア・ツァン監督の『燈火は消えず』が出品されましたが、アカデミーによって失格となりました。これは、選考委員の一人が映画に出演していたことが利益相反とみなされたためです。
イラン: レザ・ミルキャリミ監督の『The Night Guardian』が政府系のファラビ・シネマティック・ファウンデーションによって出品されましたが、反体制派のイラン独立映画製作者協会（IIFMA）は、この作品が政府の弾圧下にある映画製作者の現状を反映していないとして、代替作品の検討をアカデミーに求めました。
カザフスタン: 委員会はアディルハン・イェルジャノフ監督の『Ademoka's Education』とアスハト・クチンチレコフ監督の『Bauryna Salu』の2作品を検討しましたが、最終的に両作品の提出を見送りました。
コソボ: 委員会は4作品の応募がありましたが、満場一致で出品を見送りました。この決定に対し、フィスニク・マックスヴィル監督は「コソボの映画産業を傷つけるものだ」と批判しました。
キルギスタン: アクタン・アリム・クバト監督の『父は憶えている』が出品されましたが、国内公開日が規定の期間外であったため、最終選考には含まれませんでした。
ロシア: 国内のオスカー選考委員会が運営を停止し、映画を出品しませんでした。これは、ウクライナ侵攻に対する西側諸国の対ロシア制裁を考慮した結果とされています。
タジキスタン: ベフルーズ・セブト・ラスール監督の『Melody』が出品作として報告されましたが、選考委員会が事前にAMPASの承認を受けていなかったため、一次選考の投票対象リストには含まれませんでした。

この他にも、カンボジア、マラウイ、マルタ、ウガンダ、ザンビアなどの国では、選考委員会が応募を呼びかけたものの、最終的には出品に至りませんでした。

まとめ

第96回アカデミー賞国際長編映画賞は、世界各国の映画文化を称える重要な賞であり、その選考過程は各国の映画事情や政治的な背景も反映した複雑なものでした。受賞作となった『関心領域』は、その優れた芸術性で世界中の観客を魅了し、映画史に新たな足跡を刻みました。

この賞を通じて、私たちは多様な文化や視点に触れ、映画芸術のさらなる発展を期待することができます。

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