第9SS装甲師団

第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」：激戦を生き抜いた若き精鋭

第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの武装親衛隊に所属した装甲師団です。その名は、神聖ローマ帝国ホーエンシュタウフェン朝のフリードリヒ2世に由来しています。1943年1月、東部戦線での武装親衛隊の活躍を受け、新たなSS師団の創設が承認され、ベルリン近郊で編成が開始されました。

師団の兵員構成は特筆すべき点があります。約70％が徴集された新兵であり、その多くをハンガリーの民族ドイツ人が占めていました。さらに、兵員の年齢層も低く、60～70％が18歳という若さで編成された精鋭部隊だったのです。編成後、フランスのマイイ・ル・カン演習場に移動し、初代師団長にはヴィルヘルム・ビットリヒ少将が任命されました。その後、師団名は「ホーエンシュタウフェン」となり、番号の統一なども行われ、本格的な戦闘への準備が整えられました。

1944年2月、第9SS装甲師団は南フランスへ移動し、3月には実戦配備可能と判断されました。同時期、第10SS装甲師団「フルンツベルク」と共に第IISS装甲軍団を構成し、パウル・ハウサー上級大将が軍団司令官に就任しました。しかし、東部戦線ではソ連軍の大反攻により、西部ウクライナで南方軍集団が危機的な状況に陥っていました。このため、第IISS装甲軍団は東部戦線への移動命令を受け、フランスから移動を開始したのです。

東部戦線では、包囲された第1装甲軍の救出、そしてタルノーポリ救援という任務にあたり、激戦を繰り広げました。泥濘による移動の困難や、ソ連軍の激しい抵抗など、数々の困難に見舞われながらも、タルノーポリ守備隊の一部を救出するなど、成果を上げる場面もありました。しかし、この作戦で師団は戦死216名、負傷705名、行方不明90名という大きな損害を受けました。

その後、ノルマンディー上陸作戦により西部戦線にも危機が迫り、第IISS装甲軍団は再びフランスへ移動しました。最激戦区の一つであるカーン周辺に投入され、米軍の猛攻を受けつつも防衛戦を展開しましたが、最終的にはファレーズで包囲戦に巻き込まれてしまいました。多大な損害を出しながらも包囲網を脱出したものの、その後もドイツ軍撤退の後衛を担当し、アミアン周辺でも激戦を経験しました。

連合軍の上陸以来、補充を受けずに戦闘を続けた結果、師団の兵員充足率はわずか20％程度にまで低下していました。パリの解放後、一時的に戦闘の激しさは和らぎましたが、連合軍はマーケット・ガーデン作戦を発動。この作戦で、第9SS装甲師団は、ライン川に架かる鉄橋を防衛する任務に就きました。当時の師団長は負傷しており、ヴァルター・ハルツァ中佐が指揮を執りましたが、残存部隊で臨時編成された戦闘団は、イギリス第1空挺師団を事実上壊滅させることに貢献しました。

その後も、ラインの守り作戦や「春の目覚め作戦」など、幾多の戦闘に参加しましたが、損害は回復せず、1945年3月には実質的に壊滅状態となりました。残存部隊はオーストリアのリンツで米軍に降伏しました。

第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」は、その短命な歴史の中で、東部戦線と西部戦線の両面で激戦を経験し、多くの犠牲を払いました。若き兵士たちの勇猛さと、その悲劇的な歴史は、第二次世界大戦における激戦の様相を改めて私たちに突きつけてきます。

部隊編成

以下に、第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」の主な部隊編成を示します。

SS第19装甲擲弾兵連隊 (SS-Panzer-Grenadier Regiment 19)
SS第20装甲擲弾兵連隊 (SS-Panzer-Grenadier Regiment 20)
SS第9戦車連隊 (SS-Panzer Regiment 9)
SS第9装甲砲兵連隊 (SS-Panzer-Artillerie Regiment 9)
SS第9装甲偵察大隊 (SS-Panzer-Aufklärungs-Abteilung 9)
SS第9戦車猟兵大隊 (SS-Panzerjäger-Abteilung 9)
SS第9対空砲兵大隊 (SS-Flak-Abteilung 9)
SS第9装甲工兵大隊 (SS-Panzer-Pioneer-Abteilung 9)
SS第9装甲通信大隊 (SS-Panzer-Nachrichten-Abteilung 9)
SS第9突撃砲大隊 (SS-Sturmgeschütz-Abteilung 9) ※1944年2月解隊
SS第9観測中隊 (SS-Beobachtungs-Batterie 9) ※1944年に編成されるも後に解隊
SS第9補給隊 (SS-Nachschubtruppen 9)
* SS第9衛生中隊 (SS-Sanitäts-Kompanien 9)

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