笹田伸二

笹田伸二は、1934年11月10日に徳島県那賀郡羽ノ浦町で生まれ、1996年5月12日に生涯を閉じた元競輪選手です。1956年から1988年まで日本競輪選手会徳島支部に所属し、登録番号6764で活躍しました。

競輪選手としてのキャリアは、1956年に日本競輪学校第12期生としてデビューしたことから始まりました。笹田の競走スタイルは、徹底したマーク戦法に特化しており、その卓越した技術から「スッポン」という異名で知られていました。彼は、マークについた先行選手の番手を決して離さず、その吸い付くような追走技術は、まさに神業の域に達していたと評されています。そのため、地区に関係なく、そのレースで最も強いと目される先行選手の番手につくことが多く、他の選手たちも「笹田がつくのならば仕方ない」と暗黙の了解をしていたほどでした。

笹田は、1961年と1962年の高松宮賜杯競輪を連覇したほか、日本選手権競輪でも1964年2月（第17回）と1965年11月（第19回）の2度優勝を果たしています。これらの輝かしい実績は、彼の卓越した能力を物語っています。しかし、1968年に起きた「トップ引き暴動事件」をきっかけに、笹田の競走生活は晩年まで悲運に見舞われることになります。

1968年4月11日、川崎競輪場で開催された「桜花賞」決勝での出来事でした。このレースは、先頭を走る「トップ引き」の選手が必須でしたが、当時はその役割を担う選手が特定されていませんでした。そのため、どの選手も率先してトップを引こうとせず、スタートが何度もやり直される事態となりました。業を煮やした笹田は、本命選手でありながら自らトップを引きました。トップ引きは基本的に最下位となるため、笹田の行動は場内を騒然とさせ、レース後には一部の観客が暴徒化し、焼き討ち事件にまで発展してしまいました。この事件を重く見た競輪界は、トップ引きの対象を6番車の選手とすることを決定しました。また、笹田自身も引退間際には競走中の事故により、車椅子での生活を余儀なくされました。

このように、晩年は不運に見舞われた笹田ですが、GIを4回制覇したその功績は色あせることはありません。現在では、笹田のホームバンクであった小松島競輪場において、毎年S級シリーズ「笹田伸二杯争覇戦」が開催され、彼の偉大な功績が讃えられています。

関連項目
* 競輪選手一覧

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