筑波大学附属視覚特別支援学校

筑波大学附属視覚特別支援学校：日本の視覚障害教育をリードする国立学校

筑波大学附属視覚特別支援学校は、東京都文京区に位置する、日本で唯一の国立視覚特別支援学校です。1875年の設立以来、長年にわたり視覚に障害のある子どもたちの教育を担い、高い教育水準と充実した設備で、多くの卒業生を社会に送り出してきました。

歴史と伝統：100年以上の歩み

その歴史は、慶應義塾初代塾長である古川正雄氏の発案によって始まりました。津田仙、中村正直、岸田吟香ら、当時の著名な知識人たちが中心となり、「楽善会」を設立。当初は盲学校の設立を目的としていましたが、その後聾唖者の教育も受け入れるようになり、名称も変更を重ねながら発展を遂げてきました。明治時代に東京盲学校として現在地に移転し、戦後の学制改革を経て、東京教育大学、そして筑波大学の附属学校となりました。2007年には、名称を「筑波大学附属視覚特別支援学校」へと改称し、現代の教育ニーズに応じた体制へと進化を遂げました。

教育課程：多様なニーズに対応する充実のカリキュラム

本校は、幼稚部、小学部、中学部、高等部を設置。高等部には普通科に加え、音楽科、そして鍼灸手技療法科、理学療法科といった専門科も備えています。幼稚部・小学部は入学試験がなく、全員入学可能ですが、中学部・高等部は全国から生徒を受け入れています。全盲の生徒には点字、弱視の生徒には普通文字を使用するなど、生徒一人ひとりの視覚能力に合わせたきめ細やかな指導を行っています。また、点字教材や特殊な教具など、視覚障害のある生徒のための工夫を凝らした学習環境が整備されています。

特に高等部音楽科は、視覚障害者の音楽教育機関として全国でも稀有な存在であり、130年以上の歴史を誇ります。器楽、声楽、作曲の各専攻があり、年齢制限のない専攻科も設置されています。

高等部専攻科では、鍼灸手技療法科と理学療法科の職業課程があり、視覚に障害のある者があん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、理学療法士として活躍できるよう、専門的な知識と技術を習得できる環境を提供しています。さらに、鍼灸手技療法科には留学生枠も設けられ、国際的な交流も盛んです。

施設：充実した教育環境

校舎は鉄筋コンクリート造りの4階建てで、寄宿舎、体育館、プール、グラウンドなどの施設も完備。生徒たちが安心して学習や生活を送れる環境が整えられています。

著名な卒業生：社会に貢献する人材育成

本校の卒業生は、教育、音楽、医療、福祉など、多様な分野で活躍しています。パラリンピックメダリストをはじめ、著名な音楽家、研究者など、多くの卒業生が社会に貢献しています。

まとめ

筑波大学附属視覚特別支援学校は、長年の歴史と伝統を背景に、視覚に障害のある子どもたちに質の高い教育を提供し続けています。多様な教育課程、充実した施設、そして社会に貢献する卒業生たちの存在は、日本の視覚障害教育の未来を担う、重要な役割を担っています。その歴史、教育、そして卒業生たちの活躍は、日本の教育史においても重要な一ページを刻んでいます。将来、視覚障害のある子どもたちの教育を考える上で、本校の存在は欠かすことができません。

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