筑紫

「筑紫」（つくし、ちくし）は、日本の歴史と文化において複数の意味を持つ言葉です。その起源は古代九州に遡り、地域名、旧国名、そして人名や列車名など、様々な文脈で使用されてきました。

地理的・歴史的な「筑紫」

1. 筑紫島：古代において九州全体を指す言葉として「筑紫島（つくしのしま）」という表現が用いられました。これは、九州が日本列島の一部として認識される以前からの古い呼称です。

2. 古代九州の総称：九州を「筑紫」「豊（とよ）」「肥（ひ）」「熊曾(襲)（くまそ）」と区分する場合、特に「筑紫」は北部九州を指すことが多かったとされています。この区分は、古代の政治や文化における地域的な違いを反映したものです。

3. 筑紫国：律令制下で、筑紫国は現在の福岡県西部と南部に相当する地域を指しました。その後、この地域は筑前国と筑後国に分割されました。この分割は、律令制の地方行政における変遷を示すものです。

4. 筑紫郡：福岡県に存在した郡で、現在の筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、そして福岡市の一部地域に相当します。筑紫郡は、歴史的に重要な地域であり、筑紫地域の中心的な存在でした。

5. 筑紫地域：福岡県の地域区分の一つで、福岡地方に属します。現在の筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市の5市で構成され、旧筑紫郡の範囲をほぼ踏襲しています。この地域は、福岡都市圏の一角として発展を続けています。

その他の「筑紫」

1. 日本人の姓：筑紫哲也氏のように、日本の姓としても「筑紫」は用いられます。姓としての「筑紫」は、地域名や歴史的な背景から派生したと考えられます。

2. 軍艦名：大日本帝国海軍には、「筑紫」という名前の巡洋艦と測量艦が存在しました。これらの艦名は、日本の軍事史における「筑紫」の重要性を示唆しています。

3. 列車愛称：かつて国鉄時代には、東京駅と鹿児島駅、博多駅を結ぶ夜行急行列車や、大阪駅と博多駅を結ぶ急行列車に「筑紫」（つくし）の愛称が使われていました。これらの列車は、当時の主要な交通手段であり、多くの人々に利用されていました。具体的には、以下の列車が挙げられます。
1950年から1956年まで：東京駅〜鹿児島駅間を結んだ夜行急行「筑紫」。
1956年から1964年まで：東京駅〜博多駅間を結んだ夜行急行「筑紫」。
1964年から1975年まで：新大阪駅・大阪駅〜博多駅間を結んだ急行「つくし」。

関連項目

つくし (曖昧さ回避)：同音異義語である「つくし」に関する曖昧さ回避ページへのリンクです。
* 「筑紫」で始まるページの一覧：「筑紫」で始まる記事の一覧ページへのリンクです。

このように、「筑紫」は古代から現代に至るまで、地理、歴史、人名、交通など、多岐にわたる分野で用いられ、日本の文化や歴史を語る上で重要なキーワードの一つとなっています。

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