筧久美子

筧久美子（かけひ くみこ、1932年 - ）は、日本の著名な中国文学者であり、神戸大学の名誉教授です。大阪府に生まれ、旧姓は島田。夫もまた中国文学者である筧文生（立命館大学名誉教授）です。夫婦で中国文学の研究に携わったことは、学問の世界においても稀有な例と言えるでしょう。

筧久美子は、京都大学文学部を卒業後、大学院研究科博士課程を中退。その後、神戸大学で教鞭をとり、1996年に定年退官。退官後は奈良大学教授を務め、2003年に退職されました。

彼女の研究領域は幅広く、中国古典文学、特に詩に造詣が深いことで知られています。李白の研究は特に有名で、その生涯や作品に関する著書は、研究者のみならず一般読者にも広く読まれています。また、中国の食文化や女性史にも関心を寄せ、独自の視点から中国文化を考察した著作も発表しています。


主な著書としては、

『黄遵憲』（岩波書店、中国詩人選集 第15巻、1963年。島田久美子名義）
『上海の暮しのなかで』（筑摩書房、1972年）
『鑑賞中国の古典 第16巻 李白』（角川書店、1988年）
『李白 中国の古典』（角川ソフィア文庫、2004年。ビギナーズ・クラシックス）
『中国の食卓 茶余閑話』（筑摩書房、1993年）
『詩仙とその妻たち 李白の実像を求めて』（研文出版、研文選書、2012年）

などがあります。

これらの著作から、彼女の中国文学に対する深い愛情と、多角的な視点が見て取れます。

また、共編著として、

『中国古典詩詞選』（孫昌武と共編、白帝社、1986年）
『漢語の散歩道』（一海知義、筧文生と共著、かもがわ出版、1997年）
『中国の群雄 国をゆるがす女たち』（安西篤子、中野美代子と共著、講談社、1998年）
『漢語四方山話』（一海知義、筧文生と共著、岩波書店、2005年）
* 『漢語いろいろ』（一海知義、筧文生と共著、岩波書店、2006年）

などがあり、共同研究にも積極的に取り組んでいたことがわかります。特に、一海知義、筧文生との共著は、中国語学に関する知識を深める上で貴重な資料となっています。


1996年には、『筧久美子を語る 筧久美子先生の退官をお祝いする受講生の会』という記念文集が刊行されており、多くの教え子たちから慕われていたことが伺えます。筧久美子の研究は、中国文学研究に大きな貢献をしており、その業績は今後も長く評価され続けるでしょう。

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