李白

李白（りはく）

李白（701年 - 762年）は、盛唐を代表する詩人であり、字は太白、号は青蓮居士。杜甫と並び、中国詩歌史上最高の詩人とされています。その奔放で変幻自在な詩風から、後世「詩仙」と称えられました。

出自

李白の出自については諸説あり、正確なところは不明です。

通説: 隴西郡成紀県（現在の甘粛省天水市秦安県）出身で、西涼の太祖武昭王李暠の九世孫。
西域起源説: 祖先が西域に追放され、姓を変えて暮らしていたが、後に蜀に移住し李姓に戻した。
非漢人説: 20世紀以降、西域の非漢人とする説も提唱されています。

現在では、西域に移住した漢人の家に生まれ、幼少期に蜀に移住したとする説が有力です。いずれにせよ、遅くとも5歳頃には蜀の地に住んでいたと考えられています。

生涯

幼少期から青年期

李白は、生母が太白（金星）を夢見て懐妊したことからその名が付けられたと伝えられています。5歳から20歳頃まで蜀で過ごし、読書や剣術を好み、任侠の徒と交際しました。益州長史の蘇頲に文才を認められたり、隠者と共に道士の修行をしたり、蜀の名勝を巡ったりしたとされています。

放浪の旅

25歳で蜀を離れ、長江を下り江南へ。その後、10数年にわたり中国各地を放浪しました。孟浩然との交友や、安陸での名家との結婚、子供たちの誕生などがこの時期にあたります。

朝廷への仕官

742年、玉真公主の推薦で長安へ。賀知章に「謫仙人」と評され、宮廷で翰林供奉として玄宗に仕えました。宮廷では詩作に励みましたが、礼法を無視した言動から周囲との摩擦を起こし、3年後には宮廷を去ることとなりました。

再び放浪へ

長安を離れた李白は、洛陽で杜甫と出会い親交を深めました。その後、山東・河南を旅し、江南を周遊しました。阿倍仲麻呂の死（誤報）を悼む詩も残しています。

晩年

安史の乱勃発後、永王の幕僚として招かれましたが、永王が粛宗に討たれ、李白も投獄、流罪となりました。しかし後に赦免され、再び放浪生活を送りました。762年、宣州で病没。享年62歳。

人物

李白は生前から詩人として非常に高く評価され、多くの詩を残しました。酒を愛し、その姿は「酒仙」と称えられるほどでした。道教にも傾倒しており、その思想は作品にも影響を与えています。科挙の受験歴がないのは、当時の受験資格に抵触したためと考えられています。

伝説

溺死伝説: 采石磯で、水面に映る月を捉えようとして溺死したという伝説がありますが、実際には病死です。
高力士伝説: 酔った李白が、高力士に靴を脱がせ、その恨みで讒言されて宮廷を追放されたという伝説は有名ですが、事実ではありません。
郭子儀伝説: 無名時代の郭子儀を李白が救い、後に郭子儀が李白の命を救ったという話も、事実ではないとされています。

これらの伝説は、後世の物語で脚色されたものです。

家族

李白は、許氏、劉氏、某氏、宗氏という4人の妻がいたとされています。許氏との間には李伯禽と李平陽、某氏との間には李天然をもうけました。

詩の特徴

李白の詩は、ダイナミックでスケールの大きいものから、繊細で美しいものまで、多種多様です。変幻自在で鮮烈な印象を与えるのが特徴で、特に絶句と楽府に優れています。

主な作品

蜀道難
将進酒
廬山の瀑布を望む
横江詞
玉階怨
静夜思
山中にて俗人に答ふ
月下独酌
山中にて幽人と対酌す

主な版本

宋蜀本『李太白文集』
『景宋咸淳本李翰林集』
『分類補注李太白詩』
『李太白文集輯註』

李白と杜甫

李白と杜甫は、中国最高の詩人として並び称されます。李白は杜甫よりも11歳年長ですが、ほぼ同時代を生きました。744年に出会い、親交を深めましたが、その後は別れ、再会することはありませんでした。

杜甫は李白を深く敬愛し、多くの詩を残しましたが、李白の杜甫に関する詩はわずかです。李白は生前から評価が高かったのに対し、杜甫の評価は死後高まりました。

その他

李白に関係する言葉: 馬耳東風
李白が訪れた場所: 南京、桃花潭鎮、黄鶴楼、岳陽楼、三峡、白帝城
酒豪: 「酒仙」と称されるほど酒を愛した
* レブロン: 楊貴妃の美貌をうたった「清平調」が社名の由来

まとめ

李白は、その類まれなる才能と奔放な生き方で、後世に大きな影響を与えた詩人です。彼の詩は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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