箕面有馬電気軌道34形電車

箕面有馬電気軌道34形電車

箕面有馬電気軌道34形電車（みのおありまでんききどう34がたでんしゃ）は、阪急電鉄の前身となる箕面有馬電気軌道が所有する特異な歴史を持つ電車です。この車両は、南海鉄道軌道線から譲受された木造車体の電車であり、1945年と1949年に、当時同一系列であった京阪電気鉄道の大津線に転属し、その後返却されることなく京阪の5型として再編成されました。本記事では、この電車の経歴とその特徴について詳しく解説します。

譲受の経緯と歴史背景

箕面線は1910年3月に開業し、当初から観光客輸送を主目的としていました。そのため、閑散時には乗客が少なく、既存の1形電車では輸送力に不安がありました。これに対応するため、南海鉄道の小型車両を譲受することが決まり、34形として編成されました。

1945年、34形は北野線へ転用されました。この移動には、戦後の経済状況や交通事情などさまざまな要因が影響しています。また、他の関西私鉄に見られない特徴として、阪急では他社からの車両を積極的に譲受して輸送力を強化していたことが挙げられます。

車両の概要

1916年8月に南海鉄道から3両を譲り受けたこの電車は、全長約10.75mの木製車体で、両端にステップ付きのデッキ部を備えたボギー車です。デッキ部分は当初オープンになっていましたが、全駅にプラットホームがあったため、そのステップは撤去され、デッキ部の床面高さを客室と同一に改造されました。内部はロングシートで、客室とデッキ部は仕切られていました。

主要な機器には、ゼネラル・エレクトリック製の主電動機GE-67Aが2基搭載されており、台車はJ.G.Brill社製のブリル27GE-1を採用しています。集電装置にはトロリーポールを使用し続けましたが、1926年にはパンタグラフに換装されています。

箕面線での運行

この34形は、箕面線に運行されるようになり、特に観光客の多い時期に重要な役割を果たしました。1926年以降は、集電装置の変更やデッキ部の補強などの改造が実施され、また、能勢電気軌道に対しても貸し出しを行うなどしました。しかし1930年には運用が下火となり、池田車庫に留置されることとなりました。

北野線へ転配属

1933年には北野線へと転属し、そこでの改造作業が行われました。デッキ部分への再度のステップ取り付けや折戸の延長により、路面電車スタイルが強化され、1937年から北野線での運行が始まりました。ただし、終戦間近の1945年4月には運行本数が削減され、36が転属されて再編成されました。

京阪電鉄への転属

石山坂本線に転属した34形は、他の関西私鉄の車両と共に使用されることで、珍しい経歴を持つようになりました。しかし、老朽化が進行していたため、最終的には廃車となりました。1980年代から様々な文献に取り上げられ、筆者たちによってその歴史が記録されています。

実物大段ボール模型

2015年には、この電車の実物大段ボール模型が展示されるイベントも行われました。これはオリジナルの姿を基にしたもので、地域のエンターテイメントイベントにおいて非常に注目を集めました。

結論

箕面有馬電気軌道34形電車は、阪急電鉄及び京阪電気鉄道の発展において重要な役割を果たし、さまざまな経歴を持つ珍しい電車でした。今もなお、その歴史は鉄道ファンの間で語り継がれており、資料や模型などとしてその存在は愛されています。

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