管区指導者

管区指導者（Kreisleiter）とは

管区指導者（クライスライター、独: Kreisleiter）は、国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）における重要な役職の一つであり、党の地方組織である管区（Kreis）の最高責任者を務めていました。この役職は、1932年6月にナチ党が組織再編を行った際に、それまでの郡指導者（Bezirksleiter）に代わって設置されました。管区指導者は、党内において大管区指導者（Gauleiter）に次ぐ、地方における事実上の最高責任者として、大きな権限を有していました。

管区指導者の役割

管区指導者は、管区内の党組織を統括し、党の方針を地方レベルで実行する役割を担っていました。具体的には、以下のような業務を行っていました。

党組織の運営: 管区内の党員を組織し、党の活動を推進する。
宣伝活動: 党のプロパガンダを地域住民に浸透させる。
地方行政: 大管区指導者の指示を受け、地方行政に関与する。
人材育成: 次世代の党幹部を育成する。
戦時活動: 空襲対策や国民の戦意高揚活動を組織する。

管区指導者は、当初は大管区指導者によって任命されていましたが、後に党首アドルフ・ヒトラーの承認が必要となりました。選出された管区指導者は、各地の方面指導者学校（Landesführerschule）で研修を受け、アーリア人の血統証明を提出する必要がありました。また、就任時には、党の式典で認定証が授与されました。

管区指導部の組織構成

管区指導者の下には、様々な部門が存在し、それぞれが管区内の党活動を支えていました。以下は、管区指導部の主な組織構成です。

理事会（Geschäftsführung）: 管区指導部の事務を統括。
党裁判所（Parteigericht）: 党員の規律違反を審理。
出納局（Kassen）: 党の資金を管理。
組織指導局（Organisation）: 党組織の運営と強化。
宣伝局（Propaganda）: 党のプロパガンダを推進。
文化部（Kultur）: 文化活動を通じた党の思想浸透。
教育指導局（Schulung）: 党員の教育と訓練。
人事局（Personal-Amt）: 党員の採用と人事管理。
法務局（Rechtsamt）: 法務関連業務を担当。
経済顧問（Wirtschafts Berater）: 地域経済に関する助言。
国民公共福祉局（Amt für Volkswohlfahrt）: 公共福祉活動。
党婦人連盟組合（NS-Frauenschaft）: 女性党員組織。
突撃隊組合（SA.）: ナチ党の準軍事組織。
親衛隊組合（ᛋᛋ.）: ナチ党のエリート組織。
ヒトラーユーゲント組合（HJ.）: 青少年組織。
* 各主幹: 理事長、組織指導者、教育指導者、人事局長、宣伝指導者、経営細胞組織代表員、出納長など。

戦時下の管区指導者

戦時中になると、管区指導者の役割はさらに重要になりました。空襲が発生した際には、市民の救援活動を組織し、食料や避難場所を提供しました。また、大都市の管区指導者は、空襲による被害に対抗するため、消火活動と共に徹底抗戦を促す宣伝活動の責任者でもありました。1943年には、大管区指導者が任命する「戦時管区指導者（Kriegskreisleiters）」という臨時の役職が設けられ、全権を持って管区運営にあたりました。

管区指導者は、ナチ党の地方組織を統括し、党の政策を末端まで浸透させる上で、重要な役割を果たしました。彼らは、党の権力を維持し、社会をナチズムの思想で染めるための重要な存在でした。

まとめ

管区指導者は、ナチ党の地方組織において重要な役割を担っていた役職であり、その影響力は地方行政から党の運営、そして戦時下の国民生活にまで及んでいました。彼らの活動は、ナチ党が国民を統制し、戦争遂行を可能にするための不可欠な要素であったと言えるでしょう。

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