管長

管長とは

管長（かんちょう、英字：Head priest）とは、特定の宗教団体において、その組織の頂点に立つ宗教指導者の役職を指します。これは、組織内における最高責任者であり、教義の解釈、儀式の執行、組織運営など、多岐にわたる重要な役割を担います。

歴史

管長という役職は、日本においては明治時代に制度化されました。具体的には、1872年（明治5年）に明治新政府が、各宗教団体に対して、その統括者として管長を置くよう命令したことが始まりです。

この背景には、明治政府が宗教界を統制し、国家の政策に協力させようという意図がありました。当初、この命令では各宗教に一人の管長を置くこととされていましたが、1874年（明治7年）2月22日には、各宗教ではなく、各宗派ごとに管長を置くように変更されました。この変更は、宗教界の多様性を考慮し、より実情に合わせたものとするための措置であったと考えられます。

管長の役割

管長の具体的な役割は、それぞれの宗教や宗派によって異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。

教義の解釈と指導: 宗教の教えを正しく解釈し、信者たちを導く役割を担います。教義に関する疑問に答えたり、信者たちの信仰生活をサポートしたりします。
儀式や祭典の執行: 宗教的な儀式や祭典を執り行い、神聖な空間を維持します。宗教によっては、特定の儀式を執行する権限が管長にのみ与えられている場合もあります。
組織の運営: 宗教団体の組織を運営し、信者たちの活動をサポートします。組織の意思決定に関わるだけでなく、人材育成や資金管理にも責任を持ちます。
対外的な活動: 宗教団体を代表して、他の宗教団体や社会との対話を行います。社会貢献活動を推進したり、宗教の教えを広める活動も行います。

関連する役職

管長の役職に関連して、他の宗教団体では以下のような役職も見られます。

教務総長: 宗教団体の事務を統括する役職で、管長の補佐役を務めることが多いです。組織の運営や事務処理を担当し、管長の業務をサポートします。
執事長: 宗教団体の日常業務を統括する役職で、信者たちの生活や活動をサポートします。宗教施設や備品の管理を担当したり、信者からの相談に対応したりします。
真柱: 天理教における管長の呼称です。天理教では、終戦後から管長の代わりに「真柱」という呼称が用いられています。
大管長: 末日聖徒イエス・キリスト教会（モルモン教）における教会トップの呼称です。モルモン教では、大管長が教会の最高指導者として活動します。

その他の事項

皇道宣布運動: 管長が政治的な活動に関わることもありました。特に戦時中の皇道宣布運動では、宗教界が国家の政策に協力させられることがありました。

参考文献

『明治前期曹洞宗の研究』（川口高風著、法蔵館、2002年）

外部リンク

* コトバンク＞管長

管長は、宗教団体における重要な役職であり、それぞれの宗教や宗派によってその役割や権限が異なります。管長の歴史や役割を理解することは、日本の宗教界を理解する上で重要です。

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