箪笥

箪笥（たんす）

箪笥は衣類や道具を整理して収納するための日本の伝統的な家具で、一般的には木製で作られています。大きさや重量から、一人では運びきれないものが多く、家庭の中での重要な役割を担っています。

概要

「箪笥」という言葉は、日本特有の古典的な家具を指し、英語では「Tansu」と呼ばれています。この収納家具は引き出しを主としたデザインが特徴で、現在は和箪笥、洋箪笥、洋服箪笥などの名称が使われます。近代以降は西洋のデザインが取り入れられるようになり、さらにはウエアや収納の形態も多様化しました。 Western-style storage furnitureは物の保管に利用され、英語では「Wardrobe」や「Closet」といった用語でも知られています。また、日本では家庭用品品質表示法に基づく規制があるため、製品の品質や安全性も一定の基準を満たしています。

箪笥は、通常「棹（さお）」という助数詞を用いて数えられます。特に和箪笥には、両脇に棹通し金具が取り付けられており、長持ちと同様に運搬を容易にしています。これにより、持ち運びが可能なことから「棹」という言葉がこの家具の名称の由来となっています。

種類

箪笥には収納する物によって多くの種類があります。一般的なものには衣服を収納する「整理箪笥」や「和箪笥」、洋服を入れる「洋服箪笥」があります。また、食器を収納するための「茶箪笥」や、手回り品を保管する「用箪笥」、帳面を収めるための「帳箪笥」など多種多様です。婚礼用のセットとして「婚礼箪笥」があり、主に整理箪笥や洋服箪笥、和箪笥が含まれます。

さらに、特別なデザインのものもあります。たとえば、盗難防止のための仕掛けを施した「からくり箪笥」や、緊急時に動かしやすくするために車輪がついた「車箪笥」があります。日本では、階段の形をした「箪笥階段」もあり、これは実際の階段として利用される場面もあります。これらは建物の一部として取付けられることもあり、その場合は動かすことができないものもあります。

江戸時代には、北前船に積み込まれて難破の際に貴重品を保護する「船箪笥」というタイプも存在しました（柳宗悦がその名称を提唱）。

箪笥の製作に使われる材質の中では、関東地方の桐を用いた「桐箪笥」が高級品として非常に知られています。他にもスギやタモ、サクラ、ケヤキ、ナラなどさまざまな木材が利用されています。

歴史

箪笥が登場したのは江戸時代前期の寛文年間（1661年 - 1673年）で、おそらく大坂地域から普及したとされています。それ以前は衣服の収納には、竹製の行李や木製の長持ち、櫃などが用いられていました。箪笥の最大の特徴は引き出しの存在であり、従来の収納方法に比べて物を効率的に整理できるようになったのです。これは人々が持つ物が豊かになり、効率的で便利な収納家具が求められるようになったことを示しています。

また、「たんす」という語はもともと「担子」と書かれ、持ち運び可能な箱を指していましたが、江戸時代中期以降、引き出し式の収納が登場すると「箪笥」という漢字が当てられ、今に至ります。中国語で「箪」は円形を、「笥」は方形の竹製容器を指し、現在では「櫃」と表現されます。

主な産地

箪笥にはさまざまな地域の特徴が反映されており、著名なものとしては岩谷堂箪笥、仙台箪笥、越前箪笥、大阪泉州桐箪笥、紀州箪笥などがあります。特に仙台箪笥は「野郎箪笥」と呼ばれ、高級家具としての価値が高いです。

これらの伝統的な箪笥は日本の生活に深く根ざしており、今日も多くの家で使用されています。

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