築上東部乗合タクシー

築上東部乗合タクシーの概要

築上東部乗合タクシー（ちくじょうとうぶのりあいタクシー）は、主に福岡県築上郡とその周辺地域で運行されている乗合タクシーです。この公共交通サービスは、地域におけるバス路線の再編に伴い、かつて西鉄バス京築が運行していた友枝線が廃止されたことを受け、その代替となる移動手段を確保するために誕生しました。具体的には、2004年4月1日より運行が開始され、地域住民の生活を支える重要な交通機関としての役割を担っています。

運行事業者の変遷

運行開始当初、築上東部乗合タクシーの運行業務は吉富タクシーによって行われていました。しかし、その後、運行体制の見直しや事業者の変更があり、現在は中津シティタクシーが運行を担っています。事業者が変わった後も、運行形態については一貫して定時定路線の方式が維持されています。これは、あらかじめ決められた時刻表に従い、特定のルートを運行する形式であり、利用者は時間を把握して計画的に利用することができます。この形態は、利用者の予約に応じて柔軟にルートや時間を変更するデマンド方式とは異なり、バスに近い運用形態と言えます。

運賃体系と運行日

築上東部乗合タクシーの運賃は、乗車する区間に応じて料金が変動する区間制を採用しています。運賃が区分される基準は、沿線に位置する旧自治体区域です。具体的には、大分県中津市、福岡県吉富町、旧新吉富村（現上毛町の一部）、旧大平村（現上毛町の一部）といった区域をまたいで利用する場合に運賃が切り替わる仕組みとなっています。料金設定は100円刻みで行われており、短距離利用から長距離利用まで、利用区間に応じた分かりやすい料金体系が導入されています。また、運行日に関しては、平日、土曜日、日曜日、祝日を問わず、毎日運行されています。これにより、曜日に関わらず安定した移動手段が提供されており、買い物、通院、レジャーなど、様々な目的で利用することが可能です。

路線と運行本数

築上東部乗合タクシーの運行ルートは、大分県のJR中津駅を起点とし、福岡県の築上郡方面へと延びています。主な経由地は、広津、吉富町役場前、垂水、上毛町役場前、宇野、土佐井、中村を経由し、終点の大平支所前（上毛町）に至る単一の路線です。JR中津駅では、駅の北口にある中津市営駐車場内に専用の乗降場所が設けられています。運行本数は曜日によって異なり、平日は大平支所方面行きが1日11本、中津駅方面行きが1日12本運行されています。一方、土曜日、日曜日、祝日については、平日よりも本数が少なくなり、大平支所方面行きが1日5本、中津駅方面行きが1日6本の運行となっています。これは、平日の通勤・通学・通院といった利用需要と、休日の利用状況に合わせて最適な運行計画が組まれているためです。

使用車両

築上東部乗合タクシーで使用されている車両は、運行開始当初の吉富タクシーによる運行時と、現在運行を担っている中津シティタクシーのいずれにおいても、日産自動車製のワンボックスカーである「キャラバン」が主に使用されています。キャラバンは、乗合タクシーとして十分な乗車定員を確保しつつ、地域の比較的狭い道路にも対応しやすいサイズであり、利用者の乗り降りのしやすさも考慮された車両選択と言えます。

地域における役割と重要性

築上東部乗合タクシーは、西鉄バスの路線廃止という背景から生まれた経緯からも明らかなように、沿線地域における公共交通の空白地帯を埋める役割を担っています。定時定路線での毎日運行という形態は、地域住民、特に自動車の運転が難しい高齢者や、鉄道駅までのアクセスが必要な住民にとって、安定した移動手段を提供します。旧自治体区域を基準とした運賃設定や、曜日による本数調整なども、地域の特性や需要に合わせたきめ細やかな対応と言えます。このように、築上東部乗合タクシーは、沿線住民の日常生活における移動を支え、地域社会の維持・活性化に貢献する不可欠なインフラとなっています。

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