篠原修
篠原 修（しのはら おさむ、1945年11月22日生まれ）は、日本の景観デザインおよび土木設計分野における第一人者であり、シビックデザイナーとしてもその名を知られています。長年にわたり東京大学や政策研究大学院大学で教鞭を執り、現在は両大学の名誉教授、政策研究大学院大学客員教授を務めています。
篠原氏は、構造物やインフラストラクチャーといった土木施設を単なる機能体としてではなく、都市や地域の景観を構成する重要な要素として捉える「景観工学」の考え方を推進しました。特に、土木、建築、都市計画、造園、インダストリアルデザインなど、都市景観に関わる多様な専門分野の連携、すなわちデザイン・コラボレーションの重要性を強く提唱しています。この思想に基づき、2005年には建築家の内藤廣氏らと共に「GSデザイン会議」（GSはグラウンドスケープの略）を設立し、その代表を務め、実務と理論の両面から「グランドスケープ」の実現を目指しました。専門分野は景観デザイン、土木設計論、土木計画思想史に及び、近年はデザインマネジメントや景観政策の研究にも取り組んでいます。
栃木県で生まれ、神奈川県で育った篠原氏は、東京教育大学附属駒場中学校・高等学校を経て、1968年に東京大学工学部土木工学科を卒業。同大学大学院工学系研究科土木工学専攻で学び、1971年に修士課程を修了しました。その後、株式会社アーバンインダストリーに入社し、実務経験を積みました。東京工業大学での研究生期間を経て、1975年には東京大学農学部林学科の助手となります。1980年には東京大学から工学博士の学位を取得し、同年、旧建設省土木研究所道路部主任研究員として国の機関で研究に携わりました。1986年には東京大学農学部林学科助教授、1989年には東京大学工学部土木工学科助教授に昇任。1991年には東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻の教授となり、長きにわたり教育・研究活動を展開しました。この間、1993年以降は芝浦工業大学、拓殖大学、日本大学、早稲田大学芸術学校など、様々な教育機関で非常勤講師としても教鞭を執っています。2006年に東京大学を定年退職し名誉教授の称号を得るとともに、政策研究大学院大学教授に就任。2011年に同大学を退職し、名誉教授、客員教授となりました。
篠原氏の景観思想は、日本各地の公共空間のデザインに多大な影響を与えました。多くのプロジェクトで設計指導・監修という形で関わり、都市の顔となる場所や大規模な土木構造物の景観向上に貢献しています。代表的な作品は多岐にわたり、橋梁、駅、河川、公園、道路など、そのスケールも様々です。
主要な作品（設計指導・監修）の一部を以下に示します。
桜木町駅〜ランドマークタワー間ペデストリアンデッキ（神奈川県横浜市）
21世紀の森と広場森の橋・広場の橋（千葉県松戸市、1989年、1990年土木学会田中賞）
東京湾横断道路橋梁（東京都-千葉県、1995年、1996年土木学会田中賞）
高津川水系津和野川護岸・広場（島根県津和野町、1991年-1998年、2002年土木学会デザイン賞優秀賞）
JR東日本中央線東京駅付近高架橋（東京都千代田区、1998年、2002年土木学会デザイン賞最優秀賞）
阿嘉大橋（沖縄県島尻郡座間味村、1999年、2000年土木学会デザイン賞優秀賞、土木学会田中賞）
新港サークルウォーク（神奈川県横浜市、2000年、2001年土木学会デザイン賞最優秀賞、土木学会田中賞）
長崎水辺の森公園（2004年グッドデザイン賞金賞）
陣ヶ下高架橋（神奈川県横浜市、2001年、2004年土木学会デザイン賞最優秀賞）
苫田ダム空間のトータルデザイン（岡山県苫田郡、2005年、2008年土木学会デザイン賞最優秀賞）
第二西海橋（新西海橋、長崎県佐世保市・西海市、2006年、2007年土木学会田中賞）
油津・堀川運河（宮崎県日南市、2004年-2009年、土木学会デザイン賞2010最優秀賞）
津和野本町・祇園丁通り（2008年土木学会デザイン賞最優秀賞）
新豊橋（2008年土木学会田中賞、2010年土木学会デザイン賞最優秀賞）
* 東京駅丸の内口周辺トータルデザイン（駅前広場・行幸道路、東京都千代田区、2010年）
これらのプロジェクトは、土木学会出版文化賞、土木学会田中賞、土木学会デザイン賞、グッドデザイン賞など、数多くの賞を受賞しており、篠原氏の景観デザインが高く評価されていることを示しています。特に、著作である『土木造形家百年の仕事』や『土木デザイン論』は土木学会出版文化賞を受賞しており、理論的な貢献も大きいと言えます。
篠原氏は、研究成果や思想をまとめた多くの著書や編著を世に送り出しています。代表的な単著には『土木景観計画』（1982年）、『土木造形家百年の仕事』（1998年）、『土木デザイン論』（2003年）、『河川工学者三代は川をどう見てきたのか』（2018年）などがあります。また、「街路の景観設計」（1985年）、「港の景観設計」（1991年）、「景観用語辞典」（1998年）、「都市の水辺をデザインする - グラウンドスケープデザイン群団奮闘記 -」（2005年）といった編著や共著も多数あり、日本の景観デザインや土木史に関する貴重な文献となっています。
土木設計競技「景観開花」の審査委員長を全ての回で務めるなど、若手技術者やデザイナーの育成・啓発にも積極的に関わっています。
篠原 修氏は、エンジニアリングとデザインを融合させ、多様な専門家を巻き込みながら、日本の公共空間の景観向上に尽力してきました。その活動は、後の世代の景観デザイナーや土木技術者に大きな影響を与えています。
人物と思想
篠原氏は、構造物やインフラストラクチャーといった土木施設を単なる機能体としてではなく、都市や地域の景観を構成する重要な要素として捉える「景観工学」の考え方を推進しました。特に、土木、建築、都市計画、造園、インダストリアルデザインなど、都市景観に関わる多様な専門分野の連携、すなわちデザイン・コラボレーションの重要性を強く提唱しています。この思想に基づき、2005年には建築家の内藤廣氏らと共に「GSデザイン会議」（GSはグラウンドスケープの略）を設立し、その代表を務め、実務と理論の両面から「グランドスケープ」の実現を目指しました。専門分野は景観デザイン、土木設計論、土木計画思想史に及び、近年はデザインマネジメントや景観政策の研究にも取り組んでいます。
経歴
栃木県で生まれ、神奈川県で育った篠原氏は、東京教育大学附属駒場中学校・高等学校を経て、1968年に東京大学工学部土木工学科を卒業。同大学大学院工学系研究科土木工学専攻で学び、1971年に修士課程を修了しました。その後、株式会社アーバンインダストリーに入社し、実務経験を積みました。東京工業大学での研究生期間を経て、1975年には東京大学農学部林学科の助手となります。1980年には東京大学から工学博士の学位を取得し、同年、旧建設省土木研究所道路部主任研究員として国の機関で研究に携わりました。1986年には東京大学農学部林学科助教授、1989年には東京大学工学部土木工学科助教授に昇任。1991年には東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻の教授となり、長きにわたり教育・研究活動を展開しました。この間、1993年以降は芝浦工業大学、拓殖大学、日本大学、早稲田大学芸術学校など、様々な教育機関で非常勤講師としても教鞭を執っています。2006年に東京大学を定年退職し名誉教授の称号を得るとともに、政策研究大学院大学教授に就任。2011年に同大学を退職し、名誉教授、客員教授となりました。
業績と代表作品
篠原氏の景観思想は、日本各地の公共空間のデザインに多大な影響を与えました。多くのプロジェクトで設計指導・監修という形で関わり、都市の顔となる場所や大規模な土木構造物の景観向上に貢献しています。代表的な作品は多岐にわたり、橋梁、駅、河川、公園、道路など、そのスケールも様々です。
主要な作品（設計指導・監修）の一部を以下に示します。
桜木町駅〜ランドマークタワー間ペデストリアンデッキ（神奈川県横浜市）
21世紀の森と広場森の橋・広場の橋（千葉県松戸市、1989年、1990年土木学会田中賞）
東京湾横断道路橋梁（東京都-千葉県、1995年、1996年土木学会田中賞）
高津川水系津和野川護岸・広場（島根県津和野町、1991年-1998年、2002年土木学会デザイン賞優秀賞）
JR東日本中央線東京駅付近高架橋（東京都千代田区、1998年、2002年土木学会デザイン賞最優秀賞）
阿嘉大橋（沖縄県島尻郡座間味村、1999年、2000年土木学会デザイン賞優秀賞、土木学会田中賞）
新港サークルウォーク（神奈川県横浜市、2000年、2001年土木学会デザイン賞最優秀賞、土木学会田中賞）
長崎水辺の森公園（2004年グッドデザイン賞金賞）
陣ヶ下高架橋（神奈川県横浜市、2001年、2004年土木学会デザイン賞最優秀賞）
苫田ダム空間のトータルデザイン（岡山県苫田郡、2005年、2008年土木学会デザイン賞最優秀賞）
第二西海橋（新西海橋、長崎県佐世保市・西海市、2006年、2007年土木学会田中賞）
油津・堀川運河（宮崎県日南市、2004年-2009年、土木学会デザイン賞2010最優秀賞）
津和野本町・祇園丁通り（2008年土木学会デザイン賞最優秀賞）
新豊橋（2008年土木学会田中賞、2010年土木学会デザイン賞最優秀賞）
* 東京駅丸の内口周辺トータルデザイン（駅前広場・行幸道路、東京都千代田区、2010年）
これらのプロジェクトは、土木学会出版文化賞、土木学会田中賞、土木学会デザイン賞、グッドデザイン賞など、数多くの賞を受賞しており、篠原氏の景観デザインが高く評価されていることを示しています。特に、著作である『土木造形家百年の仕事』や『土木デザイン論』は土木学会出版文化賞を受賞しており、理論的な貢献も大きいと言えます。
著作
篠原氏は、研究成果や思想をまとめた多くの著書や編著を世に送り出しています。代表的な単著には『土木景観計画』（1982年）、『土木造形家百年の仕事』（1998年）、『土木デザイン論』（2003年）、『河川工学者三代は川をどう見てきたのか』（2018年）などがあります。また、「街路の景観設計」（1985年）、「港の景観設計」（1991年）、「景観用語辞典」（1998年）、「都市の水辺をデザインする - グラウンドスケープデザイン群団奮闘記 -」（2005年）といった編著や共著も多数あり、日本の景観デザインや土木史に関する貴重な文献となっています。
その他
土木設計競技「景観開花」の審査委員長を全ての回で務めるなど、若手技術者やデザイナーの育成・啓発にも積極的に関わっています。
篠原 修氏は、エンジニアリングとデザインを融合させ、多様な専門家を巻き込みながら、日本の公共空間の景観向上に尽力してきました。その活動は、後の世代の景観デザイナーや土木技術者に大きな影響を与えています。
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