篠塚重広

篠塚重広（しのづか しげひろ）

篠塚重広は、南北朝時代に南朝方として活躍した武将であり、新田義貞の側近としてその名を知られています。別名として篠塚伊賀守とも呼ばれ、後世には新田四天王の一人に数えられました。その出自は畠山氏にあるとされています。

生涯

延慶2年（1309年）、上野国篠塚（現在の群馬県邑楽郡邑楽町）で生まれた重広は、家督を継いで篠塚城の第5代城主となりました。彼は新田義貞の側近として仕え、その信頼は厚かったとされています。

元弘3年（1333年）には、新田義貞による鎌倉攻略に参陣し、その武勇を示しました。建武の新政後、建武3年（1336年）には、細川定禅が立て籠もる近江三井寺の攻略にも従軍し、戦功を挙げました。

延元3年/建武5年（1338年）には、藤島の戦いで新田義貞が戦死すると、重広は義貞の弟である脇屋義助に従いました。興国3年/暦応元年（1340年）には、吉野へ赴き、後村上天皇に拝謁しました。しかし、興国3年/康永元年（1342年）には、北朝方の武将である細川頼春との戦いで伊予の世田城に籠城するも敗れ、自ら「隠岐島」に落ち延びたとされ、その地で没したと伝えられています。

『太平記』には、重広の武勇が詳細に描かれており、その勇猛さが後世に伝えられています。また、彼の娘である伊賀局も、怪力で勇敢な女性として知られています。

史跡

篠塚重広の足跡は、各地に史跡として残されています。

茨城県神栖市波崎には、1345年頃に篠塚伊賀守が瀬戸内海の沖ノ島（魚島）から波崎に上陸した際に、船の碇石として使用したと伝えられる石が残されています。これは、彼の遠征と上陸を物語る貴重な証拠です。
群馬県邑楽町篠塚には、伊賀守公御廟があります。また、隣接する大信寺の境内には、碇石の複製が展示されており、彼の歴史を今に伝えています。
群馬県藤岡市篠塚には、伊賀守を祀る神社があり、地域の人々によって大切に守られています。

これらの史跡は、篠塚重広が生きた時代とその活躍を今に伝える貴重な遺産であり、彼の歴史を偲ぶ上で重要な場所となっています。

参考文献

『古人の独り言』（渡辺かぞい著、文芸社、2003年）
『太平記』（巻二十二、大館左馬助討死事付篠塚勇力事）
『畠山重忠 : 少年武士の鑑』荻窪留吉 著 (大同館書店, 1930)

外部リンク

* 菩提寺大信寺-篠塚伊賀守・伊賀局詳細解説

篠塚重広は、その武勇と忠誠心によって、南北朝時代の歴史に名を刻んだ武将の一人です。彼の足跡は、史跡や文献を通じて、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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