篠田淳

篠田 淳

篠田 淳（しのだ じゅん）氏は、1970年8月24日に岐阜県大垣市で生まれた元プロ野球選手です。ポジションは投手でした。

高校時代の輝き

大垣商業高校に進学した篠田氏は、3年次の1988年にはチームの中心選手として活躍します。縦に鋭く落ちる大きなカーブを決め球に、エースとしてマウンドを任され、打っては4番を務めるなど、投打にわたってチームを牽引しました。その活躍により、チームは同年の夏の甲子園出場を果たします。

甲子園本戦では、1回戦で古池拓一投手を擁する坂出商業高校を、2回戦で京都西高校を破り、ベスト16となる3回戦まで駒を進めました。3回戦で対戦した津久見高校との試合は、0対1で惜しくも敗れましたが、相手エースの川崎憲次郎投手との投げ合いは、この大会屈指の名勝負として語り継がれています。この試合で篠田投手が相手に許した1点は味方の失策によるもので、自責点は0という圧巻の内容でした。

甲子園での好投に加え、同年の国体にも出場し津久見高校と再び対戦（2対4で敗戦）。夏の甲子園では、3試合すべてを一人で投げ抜き、与えた自責点はわずか1。さらに、投球回数とほぼ同数の三振を奪うなど、圧倒的な投球を見せました。これらの実績により、篠田氏は同世代の有力投手たち、例えば川崎憲次郎（ヤクルト1位）、今中慎二（中日1位）、前田幸長（ロッテ1位）らと並び、この年のドラフト会議で高い評価を受ける存在となりました。地元の大垣市では、一躍、市民の誇りとして人気者となります。

なお、篠田氏が高校を選ぶ際には、当時の岐阜県内で強豪として連続して甲子園に出場していた県岐阜商業高校ではなく、大垣商業高校を選択した背景があります。篠田氏本人は後に、「県岐阜商に行っていたら補欠にもなれなかったかもしれない。大垣商に行って、まずはレギュラーとして試合に出たい」という思いから大垣商業を選んだと語っています。篠田氏の活躍以降、大垣商業高校は岐阜県内の有力校として台頭し、その後10年以上にわたり県大会の上位に進出、1994年には3度目の甲子園出場も果たしました。特に県岐阜商業高校との公式戦での対戦は、常に大きな注目を集める人気カードとなりました。

プロ入り後の苦難

1988年のプロ野球ドラフト会議において、篠田氏は福岡ダイエーホークスから1位指名を受け入団します。これは、日本ハムファイターズが交渉権を獲得した中島輝士選手の外れ1位としての指名でした。球団名が南海ホークスから福岡ダイエーホークスへと変更されてから初のドラフト会議で指名された最初の1位選手ということもあり、球団からの期待は非常に大きく、高卒新人としては異例の背番号「16」を与えられました。

しかし、プロの世界は篠田氏にとって厳しいものでした。入団1年目の1989年、投球フォームの癖を矯正するため下半身強化に取り組んでいましたが、その練習中に膝の半月板を損傷する怪我を負ってしまいます。さらに、追い打ちをかけるように左肩も故障し、度重なる怪我の影響で本来の投球を取り戻すことができませんでした。結局、一度も一軍の公式戦に出場することなく、高卒のドラフト1位選手としては極めて短命な3年間で、1991年に現役を引退することを決断しました。

引退後のキャリア

現役引退後、篠田氏は野球への情熱を捨てきれず、同年オフに中日ドラゴンズの入団テストを受験しましたが、残念ながら合格には至りませんでした。

篠田氏のプロ野球選手としてのキャリアが不本意な形で終わってしまった状況を受け、当時の所属球団であったダイエーは、親会社である株式会社ダイエーでの再就職を斡旋しました。篠田氏は正社員としてダイエーに入社し、名古屋市内の店舗で勤務しました。数年後には、当時ダイエーの傘下にあったコンビニエンスストア「ローソン」に出向し、名古屋市内の店舗で店長を務めました。ローソンの店長時代には、中京テレビ放送のローカルニュース番組に出演した経験もあるといいます。

その後、篠田氏はダイエーを退社。現在は、地元である大垣市で実家が営む花苗店で働いているとされています。

詳細情報

年度別投手成績: 一軍公式戦出場なし
背番号: 16（1989年）→ 79（1990年）→ 59（1990年途中 - 1991年）

関連項目

岐阜県出身の人物一覧
福岡ソフトバンクホークスの選手一覧

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