米 (映画)

映画『米』の概要

『米』は、1957年3月4日に公開された日本の映画で、東映によって製作と配給が行われました。監督は今井正が務め、この作品は彼の初のカラー映画として注目されました。映画の内容は、霞ヶ浦の美しい田園風景を背景に、封建的な因習が色濃く残る農村での人々の生活を描いています。118分の上映時間で、公開当時には多くの観客を魅了しました。

制作の背景

本作は、内田吐夢監督の映画『土』の現代版として企画されました。プロデューサーのマキノ光雄がこのアイデアを提案し、脚本は農家出身の八木保太郎が担当しました。撮影は霞ヶ浦の出島で約半年にわたり行われ、俳優やスタッフが合宿して、リアリティのある描写を追求しました。特に、潮健児が最後のシーンを撮影する際、船の帆の貼り方や位置、さらには雲の位置まで気にして撮影に1週間かかったという逸話があります。

主なスタッフとキャスト

映画『米』の制作には多くの優れたスタッフが携わりました。

• - 監督: 今井正
• - 製作: 大川博
• - 脚本・原作: 八木保太郎
• - 撮影: 中尾駿一郎
• - 音楽: 芥川也寸志
• - 美術: 進藤誠吾
• - 照明: 元持秀雄
• - 編集: 長沢嘉樹
• - 助監督: 鷹森立一

キャストには、江原真二郎、中村雅子（望月優子の実妹）、望月優子、木村功、中原ひとみ、南原伸二など、多彩な俳優が起用され、登場人物それぞれの人間関係や葛藤が色濃く描かれています。

受賞歴

『米』は公開当時、高い評価を受け、いくつかの映画賞を受賞しました。特に、第31回キネマ旬報ベスト・テンでは第1位に輝き、監督賞も受賞しました。また、第12回毎日映画コンクールでは、日本映画大賞、監督賞、録音賞を受賞し、第8回ブルーリボン賞でも作品賞や監督賞、企画賞、主演女優賞を獲得しました。さらには、第11回日本映画技術賞においても評価されました。

まとめ

映画『米』は、封建的な因習が色濃い農村のリアルな生活を、美しい自然と共に描いた作品です。今井正監督のカラー映画としての初挑戦でもあり、多くの受賞歴がその評価の高さを物語っています。農村での人々の苦悩や希望が、霞ヶ浦の風景に融合し、普遍的なテーマを視覚的に伝えている点が、本作の魅力の一つです。

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