米倉斉加年

米倉斉加年の生涯と業績

米倉斉加年（よねくら まさかね）は、1934年7月10日に福岡県福岡市で生まれ、2014年8月26日に亡くなった日本の俳優、演出家、絵本作家である。彼は多彩な才能を持ち、特に舞台や映像での演技、さらに絵本制作でも知られる。

幼少期から青年期

米倉は福岡市立警固中学校を経て福岡県立福岡中央高等学校を卒業し、高校時代はバスケットボール部の主将を務めていた。彼は西南学院大学への推薦を受けるが、バスケットボールではなく演劇の道を選ぶことに決めた。戸籍名は正扶三であったが、小学校からの友人に「斉加年」と名乗り続け、1983年に正式に改名した。

演劇の道へ

高校卒業後、彼は一浪して西南学院大学文学部英文科に入学するが、演劇部での活動に没頭し、1954年に中退。彼は東京に移り、松村達雄が創設した劇団五十人劇場に参加するも、すぐに解散。その後、福岡に戻り結婚したが、1957年には劇団民藝の水品演劇研究所に入館し、そこで演技を磨いた。

1959年には岡村春彦、常田富士男らと共に劇団青年芸術劇場を創設し、1964年に再び劇団民藝に復帰する。以降、彼は37年間にわたり民藝の中心俳優として活動し続け、多くの新劇作品に出演。特に舞台での存在感は際立っていた。

映画とテレビでの活躍

映像の世界でも多くの作品に出演し、特にNHKの大河ドラマでは重要な役を数多く演じた。『風と雲と虹と』では皇族の興世王役を演じ、その独特なキャラクターで観客を魅了した。また、『花神』では桂小五郎役を担い、高い評価を受けている。彼は商業演劇の舞台にも立ち、映画『男はつらいよ』シリーズにも何度か出演し、様々なキャラクターを演じた。

その他の業界でも活躍

俳優業の他にも、米倉は絵本作家としても非常に影響力がある。彼は1976年と1977年にボローニャ国際児童図書展で2年連続グラフィック大賞を受賞した。彼の著作『おとなになれなかった弟たちに…』は中学校の国語教科書に採用されており、若い世代に触れられる機会が多い。

最後の年月と逝去

2014年、米倉は福岡市での知人の結婚式に出席するため滞在中に突然倒れ、病院で腹部大動脈瘤が破裂したため亡くなった。享年80歳。彼の葬儀は近親者のみで行われ、その後お別れの会が開かれた。

積極的に演劇活動を行った米倉は、演技だけでなく、絵本作りや社会活動にも積極的に関わった。また、彼は「世田谷・九条の会」の呼びかけ人としても知られる。彼の多才な業績と人間性は、日本の演劇界に大きな影響を与えた。

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