米子城

米子城の歴史と構造

米子城（よなごじょう）は、鳥取県米子市の久米町に位置する歴史的な城で、江戸時代初期には米子藩（伯耆藩）の中心として栄えました。城は別名久米城や湊山城とも呼ばれ、現在では国の史跡に指定されています。

概要

米子城は、戦国時代の飯山（いいのやま）にあった砦と、近世城郭としての湊山（みなとやま）を背景に構築されています。江戸時代初期には中村氏による米子藩の藩庁となり、のちには鳥取藩の支城としても利用されました。飯山には戦国時代に城が築かれ、高さ約2メートルの石垣が二段に渡って配され、南北に三つの門が存在したことが知られています。

一方、江戸期の湊山には本丸や二ノ丸、三ノ丸が築かれ、豊富な防御設備が整備されました。特に、廻堀には海水が引き込まれ、城の周囲の防御が強化されました。昭和26年には都市計画法によって湊山公園の一部に指定され、平成18年には国の史跡に指定されています。

構造

米子城の主要な構成要素は以下の通りです。

本丸

湊山の山頂に位置し、西伯耆や出雲の平野が一望できる絶好の位置にあります。この場所には、大天守や四重櫓、鉄御門などが存在しました。また、本丸へ至る道には番所跡や遠見櫓跡も残されています。

天守

慶長5年に中村一忠によって建てられた独立式望楼型4重5階の天守は、その美しさと高さから城のシンボルとされました。明治11年に撮影された写真も残っており、外観は独特のデザインが施されています。

四重櫓

初代の天守は吉川広家によって建てられたとされ、その後、中村一忠により新しい五重の天守が建立された後も存続しました。大きさや形状は異なりますが、城防備の要所として機能しました。

二の丸

二の丸には城主の居所や役所が建設され、重要な機能を果たしていました。ここでは慶長8年に事件が起き、城主の側近が暗殺される騒動もありました。

三の丸

作業小屋や厩舎、米蔵などが建ち並び、城内の生活を支えたエリアです。この部分は現在、鳥取大学医学部付属病院や球場などに利用されています。

内膳丸

本丸への道の途中に存在し、独自の防御拠点として重要な役割を果たしました。また、連結する登り石垣は防御性を高める構造として機能していました。

歴史的背景

米子城の起源は、応仁の乱の頃に遡ります。当時、山名氏と京極氏との対立が続き、伯耆の国境が緊迫していたこの時期に、城の基礎が築かれたと考えられています。1577年には毛利氏によって攻撃を受け、落城後、吉川氏が城を領有するようになりました。

江戸時代に入ると、城主に中村一忠が封じられ、米子藩が設置されました。彼は城の再整備を進め、市の発展にも尽力しましたが、城は何度かの改変を経て、最終的には明治以降に大きく変化を遂げました。

現代の米子城

現在、米子城は市民に親しまれ、湊山公園として整備されています。発掘調査も行われ、歴史的遺構が徐々に明らかになっています。米子城はその壮大な歴史と文化的価値により、多くの訪問者を引き寄せています。これからも地域の歴史を語り続ける名所として、重視される存在であり続けるでしょう。

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