中村氏

中村氏：多様なルーツを持つ日本の大姓

中村氏は、日本全国に広く分布するポピュラーな姓の一つです。明治安田生命保険の調査によれば、2018年時点で日本で7番目に多い姓であり、特に近畿地方や九州地方に多く、その人口は推定約107万人に達するとされています。この姓を持つ人々のルーツは、源平藤橘といった名門から出自不詳のものまで、非常に多様です。その背景には、各地の「中村」という地名が関係しており、その土地を領有したり居住した人々が、中村を名乗ったことに由来すると考えられます。

歴史に名を残す中村氏の一族

日本史には、数多くの著名な中村氏が存在します。以下に、その一部を紹介します。

中村連：大和国忍海郡中村郷を発祥とする中臣氏族です。
仙台藩の中村氏：出羽国を拠点とした一族で、清和[[源氏]]新田氏の末裔を称しています。
下野国の中村氏：藤原北家山蔭流を祖とする一族で、伊達氏のルーツともされています。宇都宮氏の家臣としても活躍しました。
相模国の中村氏：土肥実平などの武将を輩出した一族です。土肥氏、土屋氏、小早川氏などとも関連があります。
因幡国の中村氏：山名氏の家臣として活躍した国人一族です。
播磨国の中村氏：赤松氏の流れを汲み、中世には波賀城主を務めました。
美作国の中村氏：武蔵丹党氏族で、赤松氏に仕え美作守護代を務めました。後に毛利氏の配下となります。
伯耆国の中村氏：南条氏に仕えた国人一族で、南条氏の庶流とされています。
豊臣氏家臣の中村氏：中村一氏の一族であり、米子藩主として知られています。
長崎氏の一族：大村藩の桓武平氏千葉流長崎氏の中村氏です。
甲斐武田氏族の中村氏：甲斐国八代[[郡]]中村庄から興り、板垣兼信を祖とする一族です。武田信貞が中村庄を領有し、中村氏を称しました。安芸武田氏に仕えた中村元明などを輩出しています。
尾張国の中村氏：比叡山の僧侶であった昌盛が尾張国愛智郡中村に移り住み、中村国吉と名乗ったことに始まる一族です。この系統から豊臣秀吉が出たことで知られています。

中村氏の多様な出自

中村氏の出自は、非常に多岐にわたります。主なものを以下に示します。

源氏
清和[[源氏]]：頼光流多田氏族、舟木氏族、新田氏族、武田氏族板垣氏流、武田氏族栗原氏流、小笠原氏族、土岐氏族、満快流
宇多[[源氏]]：佐々木氏族
平氏
桓武平氏：良文流中村氏族、良文流秩父氏族、大掾氏族、伊佐氏族、千葉流長崎氏族
中臣氏・藤原氏
中臣氏：中臣氏族中村連、中臣姓和田氏族、荒木田氏族
藤原氏：藤原北家（山蔭流伊佐氏族、秀郷流結城氏族、利仁流井口氏族）、藤原南家（藤原巨勢麿流、工藤氏族）
橘氏
渋江氏族
その他
上毛野氏、名張氏、楠田氏、伴氏、紀氏、菅原氏、多々良氏、秦氏、惟宗氏、阿蘇氏

山名家臣としての中村氏

因幡国の山名氏に仕えた中村氏は、家宰を務めた一族です。布勢天神山城の南西を守る新山城の守将であったと伝えられています。永禄年間には、鳥取城に拠って主家に反旗を翻した武田高信を討伐しようとし、戦死した中村伊豆守の名前が記録に残っています。また、羽柴秀吉による鳥取城攻撃の際、主君を追って切腹を命じられた中村春続も一族であると考えられています。この一族の子孫は、鳥取藩池田氏に仕えたと伝えられています。

まとめ

中村氏は、その多様なルーツと各地での活躍から、日本の歴史を語る上で欠かせない姓の一つです。源氏、平氏、藤原氏といった名門から、地域に根ざした出自まで、その多様性はまさに日本の歴史を映し出していると言えるでしょう。

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