米沢紬

米沢紬：歴史と特徴

米沢紬は、山形県の米沢盆地周辺で生産される紬織物であり、「米沢織」として知られる絹織物の中でも特に有名です。その特徴的な絣柄から、琉球紬に似ていることから「米沢琉球紬」または「米琉」とも呼ばれています。

歴史

米沢織の起源は、江戸時代中期に遡ります。第9代米沢藩主・上杉治憲（上杉鷹山）が藩政改革の一環として、越後国（現在の新潟県）から技術者を招き、織物の技術を導入したことが始まりです。この改革によって、米沢地域に新たな産業が興り、米沢織が発展していく基盤が築かれました。

製法と特徴

米沢紬の製法は、主に紬糸や玉糸などを平織りにするものです。その特徴は、何と言っても絣模様にあります。この絣模様は、琉球紬を模倣したとも言われており、米沢の問屋が使用していた大福帳『江都織物勘定職調帳』には、文久3年（1863年）当時の記録として「琉球調9貫68匁8分68足19疋」という取引内容が残されています。

多様な用途

米沢紬は、着物だけでなく、座布団や服地など、様々な用途に用いられています。また、長井町周辺で生産されるもの、あるいは長井町が集散地となっていることから、「長井紬」とも呼ばれます。さらに、「白鷹紬」や「白鷹御召」なども含めて、総称として「置賜紬」と呼ばれることもあります。

品質改良と評価

明治前半期ごろまでは、品質の高い米沢織から漏れたものが「米琉」と呼ばれ、粗末なものとして認識されていました。しかし、その後の品質改良を経て、一般農家の婦女子が内職として手がけるようになったことが転機となります。安価でありながら丁寧に織り上げられた米沢紬は、大正時代以降の百貨店の物産展で高い評価を得るようになり、その名声を確立しました。

米沢紬は、その歴史と技術、そして多様な用途において、日本の織物文化を豊かにする存在です。絣模様の美しさ、そしてその背景にある人々の努力が、現代においても私たちを魅了し続けています。

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