米軍兵による日本軍戦死者の遺体の切断

米軍兵による日本軍戦死者の遺体切断

第二次世界大戦中、太平洋戦線において、米軍兵士の一部が日本兵戦死者の遺体に対して行ったとされる行為。これは戦争犯罪であり、公式には米軍によって禁止されていたものの、戦場においては必ずしも遵守されていなかった。

背景

太平洋戦争において、連合国軍内には人種差別的な表現が少なからず存在した。アメリカ国内では、日本人を人間扱いせず、動物として描く風潮も見られた。兵士向けの雑誌では、「日本兵狩猟許可証」と称したプロパガンダが行われることもあった。アメリカ海軍のウィリアム・ハルゼー・ジュニア提督は、「ジャップを殺せ」をスローガンとし、日本兵に対する敵意をむき出しにした。これらの言動は、日本側のプロパガンダに利用され、連合国軍への敵意を煽る要因となった。

行為の実態

戦場では、敵兵の遺体の一部を切断し、「戦争の記念品」として持ち去る行為が見られた。初期の事例として、1942年のマキン奇襲作戦において、海兵隊員が戦死した日本兵の遺体を損壊し、切断した男性器を口に詰め込んだという記録が残っている。また、ガダルカナル島の戦い以降、戦死者の身体の一部を収集する行為が、軍当局を悩ませるほど頻繁に行われた。収集された遺体の部位は、耳を切り取ってベルトにぶら下げたり、頭蓋骨を戦車に取り付けたりするなど、猟奇的な方法で使用された。

ペリリューの戦いや硫黄島の戦いなど、激戦地では特に日本兵の遺体損壊が日常的に行われた。撃墜された日本軍機パイロットの遺体や、特攻によって損傷したアメリカ海軍艦艇に残されたパイロットの遺体が「コレクション」されたという記録も存在する。これらの行為は、敵兵に対する怒りだけでなく、モンゴロイドである日本兵に対する人種差別的感情も背景にあったと批判されている。

戦後、マリアナ諸島から日本へ送還された日本軍将兵戦死者の遺体のうち、約60%が頭部を失っていたという事実も、これらの行為の深刻さを示している。

戦争犯罪としての側面

日本軍戦死者の部位を切り取る行為は、連合国軍当局に懸念を抱かせるほど頻繁に行われ、アメリカや日本の新聞でも報道された。1944年には、ライフ誌が「日本兵の頭蓋骨」トロフィーの横で手紙を書くアメリカ人女性の写真を掲載し、物議を醸した。また、フランクリン・ルーズベルト大統領が日本兵の腕の骨で作られたペーパーナイフを贈呈されたという事件も発生している。

アメリカ陸軍法務部長は、これらの行為が戦時国際法に違反すると指摘し、全ての指揮官に周知することを推奨した。しかし、これらの違法行為はその後も断罪されることなく、戦争終結まで続いた。

日本軍における類似事例

チャールズ・リンドバーグの日記やユージーン・スレッジの戦記には、日本兵による米軍戦死者の遺体切断に関する証言も記録されている。

遺体損壊を扱った文化作品

遺体損壊は、ドキュメンタリー作品『日本軍への残虐な戦犯』や、ドラマ『ザ・パシフィック』など、様々な文化作品で取り上げられている。

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