粉ミルク

粉ミルクとは

粉ミルクは、育児用調製粉乳とも呼ばれ、主に乳幼児に必要な栄養素が加えられた粉末の食品です。この製品は、生乳や牛乳などを原料に加工して製造されます。粉ミルクは、母乳が不足する場合や、母子感染の恐れがある場合、または外出時や保育所への預け時などに利用され、特に哺乳期の赤ちゃんの栄養確保に大変重要です。

哺乳期と粉ミルクの役割

哺乳期は一般的に出生後18か月まで続き、この期間に粉ミルクが利用されます。赤ちゃんが生後5〜6か月頃になると、離乳食との併用が始まります。「母子保健マニュアル」には、乳児の一日の哺乳量が年齢ごとに定められています。特に生後0〜2か月では780mlが推奨されており、成長に応じて徐々に必要量が減少していきます。また、離乳期の後半では、フォローアップミルクという調製粉乳が使われ、通常の牛乳の代わりに鉄分やビタミンが加えられています。

規格と成分

乳児用調製粉乳は特別用途食品として位置付けられ、赤ちゃんの成長に適した成分が調整されています。特に、各メーカーは乳児用の粉ミルクを生後0〜9ヶ月の授乳目安期間に沿って設計しています。この粉ミルクは、母乳の成分を基にして改良が施されており、栄養のバランスが考慮されています。

加工された粉ミルクには、必要なタンパク質の含有量や脂肪酸のバランス、ビタミン・ミネラルの含有量などが調整されており、さらに乳児の発育に必要な成分も添加されています。たとえば、β-カロチンやDHA、EPAなどが挙げられます。また、アレルギーを考慮した製品として、大豆タンパクを用いたものや、乳タンパクを分解したものも販売されています。特に、妊産婦や授乳婦用の粉乳も存在し、母体や胎児に必要な栄養素を調整することが目的です。

製造方法と原料

粉ミルクの製造には、主に牛乳が使用されます。脱脂粉乳や乳糖の他、様々なミネラルやオリゴ糖、核酸関連物質が加えられ、栄養価を向上させています。製造工程は、まず乳をろ過し、加熱殺菌し、次に成分を調整し、濃縮した後に噴霧乾燥することによって完成します。

粉ミルクは、腐敗しにくく運搬や保存が容易な形状になり、非常に便利な食品です。また、調製の際には、消化機能や粉ミルクの特性を考慮し、適切なお湯を使用する必要があります。

粉ミルクの歴史

粉ミルクの起源は古く、13世紀のモンゴル騎兵の食事にまで遡ります。近代的な粉ミルクの製造法は、19世紀初頭にロシアの医師によって発明され、その後、アメリカや英国でも技術が発展しました。日本では、1917年に和光堂が加糖全脂粉乳を製造したことが最初とされ、その後1900年代に各社が次々と粉ミルクを開発・販売していきました。

結論

粉ミルクは、母乳が足りない場合や、様々な理由で母乳が与えられない乳児に対する重要な栄養源です。その成分や製造方法は、乳幼児の健康を考慮して慎重に設計されています。粉ミルクに対する批判や過度な依存はあるものの、適切に利用されれば、育児において大きな役割を果たすことができます。

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